第22話:天才高校生はからかわれるようです

次の日の朝、ケンタは宿『VIP様方の楽園』の地下にあるレストランで朝食を食べていた。


朝食と言っても朝の10時なのだが。


ケンタが座っている目の前に、朝食が置かれた。


そこには香ばしい匂いの漂うパンとみずみずしいサラダ、ふわふわとしたスクランブルエッグが盛り付けてあり、そしてミルクが入ったコップがお盆の上に置いてあった。


「お客様、朝食でございます。どうぞごゆっくり」


「ああ、ありがとう」


どうやらこの宿はご飯も用意してくれるんだそうだ。

さすがVIPだな。

ちなみに昨日の夕食もここで食べた。


早速お盆の上に置かれていたフォークを使ってサラダから食べはじめた。


口の中で噛むと、シャキシャキとしていて新鮮なのがわかる。

そのあとパン、スクランブルエッグを食べて最後にミルクを飲んだ。


「ご馳走様でした」


手を合わせて言った後、後ろの客がクスクスと笑いはじめて、こっちを向いて話しかけてきた。


「ねえ~君?どこの出身なの?そんな方言聞いた事ないんだけどぉ~?」


どうやら話しかけてきたのはケンタと同じくらいの年頃の青年で俺のご馳走様でしたと言う発言が引っ掛かったようだ。


「ああ、この言葉はご飯を食べた後に言う言葉なんだ。」


そう言うとその青年は口を大きく開けて大笑いする。


「わはははははははっ!!ご飯に感謝してるなんて君、面白いねえ!金さえ払えばいくらでも食べられるじゃん!」


「まあ、そうかもしれない。だが、ご飯を満足に食べられない人だっているんだ。感謝の気持ちを忘れない事も大切だと思うが?」


それを聞いた青年はさっきまで笑っていた顔を急に歪めて声を荒げた。


「てめえ、この俺様に意見するつもりかぁ!?俺様はワトソン子爵家の長男ジャレット・フォン・ワトソンだぞっ!!今すぐ謝るならさっきの言葉は聞かないことにしてやる!」


それを聞いた周りにいた客はざわざわとし始めた。


「おい、ワトソン家の長男ってイチャモンをつけるので有名だよな?」


「ええ、あまり関わらない方がいいと思いますわ」



そんな時だった。レストランに声が響いた。


「おやめなさい!」


それを聞いたレストランにいた客は一斉に声の主を見た。ケンタももちろん見た。


そこにいた人物はまさかのアリスだった。


「私は鳳凰騎士団長アリス・フォン・アルテミスです。国王陛下の命により迎えにあがりました、ケンタ様」


それを聞いたケンタは内心思った。


なぜそれを今言ったんだ?と。


ここは合わすしかないか。


「アリス様、待ちましたよ。それでは行きましょうか。それではワトソン様、失礼致します」



そうしてケンタはアリスと共にレストランを出て行った。





ケンタとアリスが出て行った後、ワトソン子爵家長男ジャレット・フォン・ワトソンは1人虚空を見つめて呟いていた。



「な、なぜあいつが国王陛下に呼ばれているのだ?ありえない、あんな奴が…。」







ケンタとアリスはレストランから出た後、宿の受付で事情を話した後、すぐさま宿『VIP様方の楽園』を出た。


出た後、目の前には精巧な装飾があちこちに見られた馬車が止まっていた。



アリスが口を開く。


「どうぞ、お乗りになってください。」


そうして馬車の中に勧められ、席に座った。



その後アリスも乗って馬車は動きはじめた。


早速俺は口を開く。


「なぜ、騎士団長であるアリスが来たんだ?使者が来るんじゃなかったのか?」


それを聞いたアリスは少し俯きながら小さな声で答える。


「そ、それは私が国王陛下に頼み込んだのです。王国に仕える身としては仕事は多い方がいいのです。まあ、本当は一緒にいたかっただけなのですが…。」



最後の方はケンタの耳には届いていなかった。


「仕事を一生懸命するのはいい事だ。」


「はっ、はいっ!」


アリスは頬を少し紅く染めながら答えた。



そんな事をしてから数十分後、馬車が止まった。


アリスが口を開く。


「どうやら王宮に着いたようです。それでは降りましょうか。」


そうしてケンタとアリスは馬車を降りた。


降りた瞬間に目に入った光景は凄かった。



真っ白な門があり、その上から少し見える城は日本のような城ではなくて、ファンタジーゲームでよく扱われる城そのものだった。


「さあ、それでは参りましょうか」


「分かった」


そうしてケンタはアリスに連れられ門をくぐって行くのだった。



_______________________


フォロー、レビューよろしくお願いします!

別作品、前世が官僚の俺は貴族の四男に転生する


が累計15000PVを突破しました!


時間がある方はぜひ見てみて下さい!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る