第23話:天才高校生は王城へ入るようです
俺はアリスに連れられ、さっき門から見えていた城に入った。
城に入るとすぐに部屋に通された。
部屋を入って目に入ったものはとても豪華なテーブルとソファだった。
さすが王城だな。何もかもが違う。
俺はアリスにソファに勧められて座った。
「ケンタさん、謁見までは少々時間が掛かりますので、ここでお待ち下さいね。メイドにお菓子を持ってこさせますので。あ、そこにある服に着替えて下さい。」
アリスはそういうや否や部屋を出ていった。
服を見ると上品な生地でできているスーツのようなものだった。汚さないようにしないとな。まあ、汚さないけど。
着替えが終わってから数分後、アリスの言った通りメイドが部屋に入ってきた。
「お待たせして申し訳ございません、ケンタ様。私は王族直属メイド、メイド長のソフィア・フォン・メアリーと申します。以後お見知り置きを。お菓子をお持ちしましたのでお待ちの間、どうぞ遠慮なくご賞味ください。」
艶々としたプラチナブロンドの髪を肩にかかる程度に伸ばし、ザ・メイドというテンプレな白黒の服装を着ていた女性で、どうやらこの人も貴族のようだ。貴族がメイドって普通なのかな?
一応敬語の方がいいよな?
「ありがとうございます。それでは遠慮なく。」
そうして俺はソフィアが運んできたお菓子の一つを取る。
どうやら饅頭のようだ。これも勇者が広めたのか?一応聞いてみよう。
「すいません、ちょっとよろしいですか?」
「はい、何なりと仰ってください。」
「この食べ物は何という食べ物なんですか?」
「え?ケンタ様、ご存知ないのですか?結構有名ですよ?」
「ははは、辺境から最近出てきたばかりで、そういうのは疎いんです。」
「余程の辺境に住んでいらっしゃったのですね。ははは……。」
これ絶対引かれてるやつだよな?
そんな事を思っているとソフィアは続けた。
「この食べ物は饅頭と言って300年前にこちらの世界に来られた勇者様が伝えられたと文献に載っております。勇者様は最初、この饅頭を作るために世界各地を回って原料を探したそうです。原料は勇者様によってアズキと名付けられました。アズキは東国の島国、ヤマト和国で発見されて、大陸に持ち帰り、そこから世界全体に普及していきました。そしてそのアズキを包んでいる皮の原料はこのローベルク王国で発見されたそうです。」
ん?この世界ムッチャ前世と似てる気がするのは俺だけなのか?グロリアは一体何を考えてこの世界を創ったのだろうか?
「そ、そうなんですね。ご説明ありがとうございます。」
「いえいえ、これくらい語れなければメイド失格ですからね。一応メイド長ですので。」
「そうなんですね。」
どうやらメイド道というものがあるらしいが、あまり深入りするのもよくないと思い、次の話題を振ろうとした。
だが、別のメイドが入ってきて、ソフィアに耳打ちしている。
「ケンタ様、どうやら国王陛下の準備ができたようです。謁見の間までお連れいたしますので私の後ろについて来てください。」
「はい。分かりました。」
そうして俺はソファから立ち上がりソフィアについていった。
数分後、かなりの距離を歩いてようやく謁見の間に着いた。
急に緊張してきた。
そうしてソフィアに耳打ちされる。
「謁見の間に入るとカーペットが敷かれております。カーペットが途切れるところで立ち止まり、片膝をついて下さい。右手を左胸に当てながらです。あと、膝をついた後、面を上げよと言われるまで顔を上げてはいけません。分かりましたか?」
「分かりました。」
「えっ?わかったんですか?」
「僕は一度言われたことは忘れませんから。」
「す、すごいですね。あ、もうすぐ時間です。それではどうぞ」
そうしてソフィアは謁見の間の扉を近くにいた男性2人に開けさせた。
そうして俺は謁見の間に入っていった。
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