第13話:天才高校生は夢を見るようです

今俺は夢を見ている。


明晰夢というやつだ。


俺が立っているところからは遠くの方に大樹が見える。俺と大樹の間にあるものといえば一本の道くらいだ。

大樹は雲を突き抜けて上が見えない。

見えるのは幹の部分だけ。葉などは何も見えない。これだけで大樹の大きさが理解できるだろう。



大樹が俺を呼んでいる。


「わたしを助けて!!!」と。


なぜか分かった。


行ってみよう。



そうしてケンタは走って大樹を目指した。



しかし一向に大樹との距離が縮まらない。


ケンタは身体能力強化の魔法を使おうと思ったが、使えなかった。何度も試してみるがやはり使えなかった。


何故だろうか?と、考えていると世界に声が反響する。


「ここは己の力が試される場所です。あなたの元の世界でいうチート能力は使えません。」


どこか人間味のない声。声が聞こえるがその声の持ち主は見当たらない。


チート能力の事を知っているということは創造神に近い誰かか?だが今そんな事を考えても仕方がない。


ケンタはどこから聞こえているかさっぱりわからなかったが、疑問に思ったことを口に出す。


「ここは己の真の力が試される場所ということか?」


少し間が空いてからその問いに答えた者がいた。


「うん、そうだよー。その認識で間違い無いね。」


さっきとは別の者が答えた。


「自分で言ったんだがその真の力は具体的にどんな力か教えてくれるか?」


その問いにまた別の者が答えた。


「世界を救う力。世界に変革をもたらす力。そんなところかしら?」


ケンタはそんなスケールの大きな話を聞いてびっくりした。


そんな表情を見ていたのか、また別の者の声がした。


「何びっくりしてんだよ!?男ならもっとどっしりと構えとくんだな!」


「すまない。」


そしてまた別の者が言った。


「今日はもう時間がありません。続きはまた別の機会に。」


そのあとすぐにケンタの体は大樹のある世界から消えた。


ケンタはまぶたをゆっくりと開ける。窓から朝日が差し込んでいた。


「もう朝か。」


こんな明晰夢は見たことがない。

何かが起きる。ケンタはそんな気がした。










ケンタが去った後、大樹の世界に4人の影が現れる。


「こうして集まるのも久しぶりですね。」


「ああ、そうだな。土よ。」


「あの子は試練に耐えられるのかなー?」


「さあ、それはなんともいえませんね、風よ。」


「私達は見守ることしかできないのかしら?」


「水よ、何度も言っているでしょう?私達の力は世界に災厄をもたらす力。それを制御できる主人を見つけ出さない限り、この世界から抜け出すことはできません。」


「なんだよー、それめんどくせえーなー。

いいじゃん別にー。」


「そんな事をいっても仕方ありません。火よ。」


そう言って続ける。


「しかし、あの者ならば、私達を従えることができるかもしれません。」


「えー、でも今まで私達全員を従えた人なんていないよー?」


「あの者には、私達の知らない何かを持っているように感じました。その何かはわかりませんが、私はあの者にかけてみたくなりました。」


「ふーん、あんたがそんなふうに言うのは珍しいわね?」


「ええ、あの者には期待しています。そのためには試練に打ち勝たなければなりませんが…。」


「ふっ、相当情がうつってんなぁ!まあ俺もあいつにかけてみたくなったぜ!」


「そうですか。今はあの者に託すしかないですがね。我らの王を助け出せるのか、期待していますよ、少年。」


4人はそんな話をしたあと、音もなくその地から姿を消した。







ケンタはベットを降りて昨日夕食を食べた場所に向かった。


そこにはサーシャとリディアがいた。


ん?ジャクソンはどうしたのかって?

結局昨日文書をサーシャに押し付けられて終わらなかったみたい。寝る間も惜しんでやってるけど、それでも終わらないみたい。

うん、かわいそうだね。



ケンタは空いていた席に着いた。



「それではいただきましょうか。」


「「我らに恵みを与えてくださり感謝します。グロリア様。」」


「いただきます。」


そうして朝の食事を食べた後、昨日執事に案内してもらった書庫に向かった。



サーシャから許可はもらっているから大丈夫だ。サーシャに本を読みたいと伝えると、ぜひ学んで頂戴と言われた。学び終えるまで屋敷に泊めさせてもらう許可ももらった。







そうして書庫について、昨日読んだ『魔法学の基礎』という本の横にあった、『魔法初級編』を見て頭に入れることにした。



ケンタは数時間後、『魔法初級編』を読み終え、理解した。


内容を簡潔にまとめるとこうだ。


・魔法は殆ど攻撃魔法と防御魔法に大きく二分される。

・攻撃魔法の例→火属性初級魔法『火球』

火の玉を相手にぶつける魔法、威力は低い。

・防御魔法の例→火属性初級魔法『耐熱』

直径1メートルの円盤を自分の前方に配置し、そこから後ろは熱を通しにくくなる


というものが本の大半を占めていた


他にも無属性魔法という分類があるようだが、上級編を見ろと本に書いてあった。




ケンタはキリがいいと思い、書庫を出た。



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