第19話:天才高校生は王都へ向かうようです

時刻は午前10時頃、ケンタはフェーレンの街のギルド、いわゆる冒険者ギルドフェーレン支部にいた。


ケンタは受付に並び受付嬢と会話していた。


「昨日はスタンピードの討伐、お疲れ様でした」


そんな事もあったな、とはるか昔の記憶を思い起こすような感覚だった。

現実ではないような、でも現実とわかるそんな感覚。


「あ、ああ、そんな事もあったな。」


「そんな事もあったなって昨日のことですよ?」


「いや、それは分かってるんだが、どうにもしっくりこなくてな。やっぱり魔法って凄いんだな」


「そんな冒険者さんは初めて見ましたよ」


「まあ、ものは慣れようだな。これからもクエストを受けたりして徐々に慣れていけばいい。」


「そうですね。頑張ってください。あとそれと昨日のスタンピードの討伐は緊急クエストでした。緊急クエストは強制的にEランク以上の冒険者が駆り出されるのですがその特別報酬がケンタさんに出ています。」


「なら、そのクエストの報酬を受け取ることができるか?」


「いえ、すみません。ことがことに魔物をほとんど冒険者であるケンタさんが討伐してしまいました。ギルドにお金を預け入れと言う形でよろしいでしょうか?」


「預け入れとは具体的にどう言うものなんだ?」


「はい、ギルドの預け入れ制度は高ランク冒険者への配慮です。お金を手元に置いていては盗まれる可能性はあります。ですのでギルドがお金を預かると言うものです。預け入れされたお金はどこのギルドでも受け取ることができます。仕組みの詳細は私も分かりませんがギルドカードに情報が刻み込まれます。くれぐれも無くさないようにお願いいたします。」


「ああ、分かった。」


前世でいう銀行のような役割をしているということか。


そんなことを考えていると受付嬢が言った。


「今回の緊急クエストの報酬なのですがちょっと耳を貸してください。」


そうして耳を受付嬢に近づけたあと受付嬢が周りには聞こえない小さな声で言った。


「光金貨30枚です」


ん?光金貨30枚?確か光金貨一枚が100万円の価値だから3000万円?そんなにもらっていいの?


「そんなに貰っていいのか?」


「これはギルドマスターの判断です。」


どうやらここのギルドマスターは余程俺を敵に回したくないらしい。


「分かった」


「こんな取引は私も初めてです。報酬は預け入れに入れておきますね。あとそれと、今回の緊急クエストの件でケンタさんの冒険者ランクが上がりました。これも特例ですが冒険者ランクAに上がります。異論は認めないとの事です。ギルドカードを更新しますのでしばらくお待ち下さい。


そして数分後受付嬢が戻ってきて渡されたカードは黄金に輝いていた。カードを少し斜めにしてみると光の加減でAという文字が浮かび上がる。


「このような特例は以前にもありましたがあまり口外しない方がよろしいですよ」


そんなアドバイスをくれたが答えは勿論イエスだ。


「ああ、分かっている。面倒ごとは嫌いだからな。」


「それなら良かったです。他に何かご質問などはありませんか?」


「特に無いな。」


「そうですか、ではまたお越しください。」


そうしてケンタはギルドを出て行った。






ケンタはアリスに昼頃に出発特に言っていたので少し早めに行ってもいいだろう。


そう思ってケンタはフェーレンの街の南門に足を向けた。





そうして南門に着くとアリスがいた。


「ケンタさん、お早いですね?」


「ああ、もうする事もなくなったしここへ来た。」


「そうですか。こちらはいつでも出発できる準備は整っています。少し予定より早くなりますが出発致しますか?」


「俺は別に構わない。騎士団長であるあなたに任せる。同行すると言っておいて言う事を聞かないのはいけないからな。」


「そうですか。分かりました。それでは出発します。」


そしてアリスは騎士団員たちに向けて言った。


「少し早くなるが、王都へ向けて出発する!」


「「「はっ!!!」」」


そうして南門をくぐり、鳳凰騎士団と共にケンタは王都へ向けて出発した。

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