第18話:天才高校生は町のヒーローになるようです
スタンピード殲滅作戦が終了した夜、フェーレンの酒場は大いに賑わっていた。
その理由は当然、スタンピードを殲滅させたからである。
ケンタの活躍を見ていた兵士がいろんな人に言いふらしてしまったらしい。騎士団長にあれほど言ったのにこのザマである。
なんでこんなことに……。
酒場の店長が口を開く。
「どうしたんだ?そんな顔して、立役者じゃないか!Eランク冒険者が魔物を殲滅!ギルドがこんなランクでほっとくわけないぞ!
若手有望株!」
「町のヒーロー」
「救世主!」
「殲滅の魔術師!」
なんで俺がEランク冒険者と知っているのだろうか?
色々と言われているが無視だ無視。
個人情報の流出がこれほど怖いものだということを身をもって経験した瞬間だった。
「酒飲むか?」
そう店主に言われたがもちろん却下。
「ほかになんか飲み物あるか?」
「えっとだな、フルーツジュースならあるぞ」
なんか子供っぽい飲み物だと思ったがあるだけマシと思いうなづいた。
「ならそれで頼む」
目の前にジュースが置かれ、一息で飲む。
後味が残らないスッキリしたジュースだった。
異世界に来て初めてのジュース。美味いな。
ここにいてもなにかと言われるだけだ。
さっさと人前から姿を消したほうがいい。
そう思ってお金を店主に払ってさっさと酒場を後にした。
フェーレンの街で取っていた宿へ向かい歩いていると、後ろから俺を呼ぶ声がした。
「ケンタさーん、ちょっと待ってくださーい」
後ろを振り返ると手を上げて振りながら走ってきているアリスの姿が目に映った。
どうやらアリス1人のようだ。人通りは少ない。みんな酒場で盛り上がっているようだ。
「どうした?何か用か?」
「用があるから追いかけてきたんですよ」
「それもそうだな、で、何用で俺を探してたんだ?」
「はい、まずは謝らせて下さい。ケンタさん、申し訳ありませんでした。」
「広まったことは箝口令を敷いたところで言わなくなるだけで記憶には残るもんだ。だからしょうがない。別に構わない。俺は気にしない。」
せっかくの異世界だし。こんなこともあってもいいか、と思ってしまう。
「ほ、本当に申し訳ありませんでした。」
「構わない。もうこの話は終わりだ。そろそろ宿に戻りたいんだが…。」
「あ、あともう一つだけよろしいですか?」
「何だ?」
「明日の昼頃に私の指揮下である鳳凰騎士団は王都へ向けて出発します。その際にご同行していただいても良いですか?」
「ああ、それは前にも言った通り大丈夫だ。」
「そうですか、それではまた明日の昼お会いしましょう」
そうしてケンタはアリスと別れたあと宿へ向けて足を進めた。
宿についてから取っていた部屋に入りベットに座り呟く。
『ステータス』
名前 ケンタ・モリサキ
年齢 17
種族 人間族
LV MAX
職業 Eランク冒険者(創造神に愛されるもの)
称号 異世界転移者
筋力 MAX
魔力 MAX
知力 MAX
敏捷 MAX
運 MAX
基礎スキル 身体能力強化・極
火魔法・極
水魔法・極
土魔法・極
風魔法・極
光魔法・極
闇魔法・極
治癒魔法・極
応用スキル 魔法創造・極
鑑定・極
言語理解
創造神の加護・極
無詠唱
手加減
今日実際自分で体感したがやはりチートは強大な力だ。だがその力を使う者がしっかりと意義を持って力を振るわなければただの暴力だ。
ケンタはこの事を自分に言い聞かせた。
明日は昼に王都に向けて出発だから、朝には起きてこの街もしっかりと見ておきたい。せっかく来た街だし。
「寝るか」
そうしてケンタはベットに横になり瞼を閉じて意識を闇に沈めていった。
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