第6話:天才高校生は女たらしのようです
目を覚ます。まだあまり働かない頭で起き上がり、まぶたを擦る。窓から一筋の優しい光が差し込んでいた。鳥のさえずりが聞こえる。そうして徐々に意識が覚醒してそこで思い立つ
やっぱり夢なんかじゃなかった、現実なんだ、と。
そういった思いにふけていると、外から扉がノックされ、開かれ昨日と同じ女の子が入ってきた。扉に鍵はあるが、ほとんどの人は鍵をかけないらしい。なんでも、鍵をかける時間が面倒だとか。冒険者の気質が窺える。ちなみにケンタは色々とありすぎて部屋に入るや否や鍵をかけずに寝てしまっただけなのだが。
「お客様、朝でございます。朝ごはんの時間ですので、食堂までご案内いたします。」
そう言われ、欠伸をしながらうなずいて女の子の後ろをついていった。
「昨日は随分お疲れのようでしたね。部屋に行って声をかけたのですが、起きる気配がなかったので。」
ケンタは、そのシーンを思い浮かべ、苦笑いを浮かべる。
(いや、はずかしぃーーー!年頃の女の子に、俺の寝顔を見られて、挙げ句の果てに呼ばれても起きれなかったなんてモリサキの名が廃ってしまうじゃないか!いやしかし、ここは異世界。モリサキの名が関係ないから別にいいのか?でも俺のプライドが許さないし…)
そう慌てて思考していると
目の前に女の子がいた。
「あのー、大丈夫ですか?」
女の子の黒いクリクリした双眸が心配そうにケンタを射抜く。
「わっ!あ、ああ大丈夫だ、心配しなくていい。」
そういいつつ、呼吸を整える。
そんなことがあったりして、気づくと食堂だった。料理が運ばれてくるのを待っていると、なんか見覚えのある料理が出てきた。
「いや、味噌汁じゃねぇか!ご飯もあるし!」
「ええ、そうですがそんな大声を出してどうされました?」
「これ、誰が最初に作ったか知ってるか?」
「変なことを聞きますね、ええっと、確か、隣国ノルトライセン神国の神都ノルトに召喚された初代勇者様が広めたんだそうです。なんでも、『人は味噌汁を朝に飲んでこそ元気が出るのだ!ご飯のこの光沢も見て楽しむんだ!』とかいっていたそうです。実際、朝から味噌汁を飲んでご飯も一緒に食べると体があったかくなって、元気が出るので広まったと思います。特に濃い味噌汁は冒険者さんに大人気なんですよ。」
「そうなのか。」
そういいつつ、ケンタは思った。
ノルトライセン神国の神都ノルトに召喚された初代勇者?俺は死んでグロリアの力で異世界で生き返った。でも初代勇者とやらは召喚といった。
疑問に思ったので、聞いてみた。
「どうやって、初代勇者とやらは召喚されたんだ?」
「確か、100人を超える魔法師たちが一斉に召喚魔法を唱えたそうです。そうすると時空に穴が開いて、異界から勇者様が召喚されたどう伝えられたいます。でもこれおよそ500年前の話だそうです。その後にも、2代目3代目と続いていき、ちょうど今年は5代目の勇者様が異界から来られるようです。
今が夏ですから、もうすぐですね。」
「そうなのか、色々教えてくれてありがとう。」
そんな会話をしていると味噌汁とご飯は冷めてしまっていた。ガックリ肩を落としたケンタであった。
そんなことがあって時刻は7時ごろ、宿屋『荒くれ集落』を後にし冒険者ギルドに向かう。
(宿屋に後5日泊まれるからといって、仕事をしないわけにはいかないし、だって後銀貨3枚しかないし。)
そう思いながら歩いていると、冒険者ギルドについた。扉を開けると中には沢山の人がいた。ケンタが歩いていこうとする道を冒険者たちがそそっと開ける。
何やらそばから、
「ひっ、ムキオが目をかけてるやつだ」
「あいつもやばいやつに違いねぇ」
と聞こえてくるが、ケンタは一体誰のことを言っているんだと思いながら、昨日リカバリー草を売ったところに、同じ受付嬢がいたので話しかける。
「おはようございます。冒険者ケンタ。」
「ああ、おはよう、えっと…名前何?」
「ふぇっ!?え、えっと…か、カナです。」
そう言われて金髪青目の受付嬢カナが顔を紅くし、手を頬に置いて答える。
「驚かせてしまったのならすまない。改めて、おはよう、カナ」
「お、おはようございます。それで本日は、どのようなクエストをお探しですか?」
「昨日と同じ、金が稼げるクエストがいい。」
「それなら、ケンタさんはEランクになりましたので、討伐クエストを受けることができますがどうでしょう?ちなみに昨日と違って達成報酬というものがあります。」
「わかった、その討伐クエストを受けたい。で、何を倒してくればいいんだ?」
「ええ、昨日と同じところではありますが、魔の大森林の少し入ったところにEランクの魔物であるホーンラビットという魔物が発見されたのです。ウサギのような風貌で、おでこにツノが生えているのが特徴です。討伐証明部位はホーンラビットのツノです。受けられますか?」
「ああ、受けたい。受けるにあたってなんだか、良い武器屋を紹介してもらいたい。」
「わかりました。冒険者ギルドを出てすぐ東の方に武器屋があります。受注完了しました。」
「わかった。ありがとう。」
そう言い残し、冒険者ギルドを出て行くケンタであった。
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