第16話:天才高校生は秘密を知られるようです
時刻は夕方、フェーレンの町の門前に力尽きそうな男性を門番が発見した。
ケンタである。
なぜ力尽きそうだったのかというと、昼ごはんを食べず、ずっと歩いていたからである。
『身体能力強化』を使わずに歩いたがこれまた意外にキツかった。
夢で見た事が本当に起こるのではないかと思い、魔法を使わずに歩いたが昼ごはんを食べなかったのが原因だろう。
ケンタは不審者扱いされ門近くに設置されている尋問所に連れて行かれ事情聴取された。
不審物も何も持っていなかったのでお咎めなしとなったが気分の良いものではない。
今日は散々だ。宿とるか。
そう思って近くの兵士におすすめの宿を聞いて向かった。
宿に入ってお金を払い、夕食を食べさせてもらった後部屋に向かいケンタはスッと穴に落ちたように眠った。
ケンタが起きたのは昼前だった。
余程疲れていたのだろう。ほとんど昼食という朝食を食べた後宿屋の女将に冒険者ギルドの場所を聞いて向かった。
冒険者ギルドへ向かうと冒険者たちが受付嬢に抗議していた。
近くの冒険者に事情を聞くとどうやらこの町に魔物の大群が向かっているという。
いわゆるスタンピードというやつだ。
「おい、どうするんだよっ!!」
「この町ももうおしまいだ」
「早く逃げよう」
というような言葉がたくさん飛び交っていて事態の収拾がつかなかった。
説得しようと一度は思ったが、Eランク冒険者は説得力が無いはず。
そんな時だった。ギルドの扉が開かれそこから1人の女性が入ってきた。
「魔物のスタンピードが起きたそうですね。私達が指揮権を握ります。」
そんな女性の発言を聞いて冒険者は
「あんた、誰なんだ?」
「私はローベルク王国鳳凰騎士団騎士団長アリス・フォン・アルテミスです」
それを聞いた冒険者たちは
「ほ、鳳凰騎士団!?」
「騎士団がいるなら俺たち勝てるんじゃ?」
と口々に言っていたが次第に顔が青ざめていき
「申し訳ございませんでしたっ!!」
と一斉に頭を下げた。
ケンタもそれを見て一緒に頭を下げた。
「構いません。こちらは別件で4日かかる行程を早く来た甲斐がありました。そこのあなた、少し話があります。ついてきて下さいますか?」
そうして指を差されたのはケンタだった。
冒険者の視線が集まる。
この空気で断るわけにもいかず仕方なくうなづいた。
「わかりました。」
そういってアリスとケンタはギルドを出た。
外にはアリスの仲間らしい男性がいた。
「団長、この者はどうされたのですか?」
「少し話がありましてね。部屋を設けて下さいますか?」
「はっ、直ちに手配してまいります。」
そうして、手配された部屋に向かった。
「副騎士団長、ここから先は私とこの人だけで話をしたいのですが構いませんね?」
「だ、団長がそういうならば構いません。」
ケンタは男性にガンを飛ばされたが気にすることもなくアリスについていった。
部屋に入るとすぐにアリスが口を開いた。
「あなたは魔王ですか?」
「えっ?違いますが」
「ならその魔力量はなんですか?」
「あなたは魔力が見えるのか?」
「質問を質問で返さないでください」
ケンタは少し強気に出てみることにした。
「あなたがこの部屋へ連れてきたのでしょう?こちらの事が聞きたいならまずそちらが話すのが当たり前では?」
「わかりました。申し訳ありません。私は他人の魔力を見る事ができます。魔力の密度、量、色も見る事ができます。理由は分かりません。」
「俺は人間だ。魔王ではない。魔力量が人より多いのは知っていたがそんなに多いのか?」
と知らないフリをした。
「ええ、人外です。」
「それは知らなかった。で、それだけを言いにきたんじゃないだろ?」
「ええ、そうなんです。私達と王都に同行して下さい。もちろんスタンピードの件が片付いてからですが。」
「構わない。ちょうど王都へ向かっていたところだからな。」
「ありがとうございます。それと今回のスタンピードの件、あなたのその魔力量を見こんでご助力いただきたいのですが?」
ケンタは思った。
俺の力が利用されかけている。断ることもできるがその場合王国を敵に回し最悪公爵家の後ろ盾を失ってしまう。あまり力をさらけ出したくないが今回は仕方ない。
「分かった、だがこのことは出来るだけ広めないでほしい。あなたも立場というものがあるからどうしてもというときは仕方ないが、それ以外は他言無用に願いたい。」
「分かりました。」
そうして話を終えた後、アリスと共に、急いで魔物のスタンピードを倒すためフェーレンの町を出た。
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