第14話:天才高校生は新たな知識を得るようです
書庫を出た後、昼食を食べその後また
書庫に戻って本を読む。
魔法中級編を読み終え、上級編を手に取った。中級編には魔法の階級について書いてあった。
まとめると
小さい方から
初級→中級→上級→超級→帝級→神級
となっているらしい。
全人口の9割5分が中級以下しか使えないと書いてあった。
ちなみにこの世界の全人口は軽く1億を越す。地球と比べれば全然いないが仮にも一億人居たとしてもそのうちの500万人が上級以上を使えるということになる。
帝級魔法以上を使えるのは現在この世界にはいないらしい。帝級魔法はこの国の初代国王が使えたらしい。冒険者ランクがSSランクとはそれほどにすごいものなのだろう。
神級魔法は創造神グロリアがこの世界を作った時に発動した魔法らしいが、どんな魔法か分からないと書いてあった。その下には直接聞いてみたら良いんじゃないのか?と書いてあったがさすがにこれはジョークだろう。
ということは現在使われているのは最大でも超級魔法ということだ。超級魔法を使える者が国家に多ければ多い程、周辺国家を牽制することができる。
つまりこの世界は超級魔法を使える者が戦争の抑止力になっているということである。
そして上級魔法編には無属性魔法のことが書いてあった。
無属性魔法として広く知られているのが
『身体能力強化』である。
身体能力強化は体内にある魔力を体の各部分に密集させるとできると書いてある。
例を述べると
腕力を上げたい!→腕に魔力を密集→腕力強化
という流れである。
他にも精霊魔法という魔法があり、精霊という存在の力を借りて魔法を発動する魔法があるらしい。精霊にも階級があるらしく
下から順に並べると
下級精霊→中級精霊→上級精霊
精霊の種類は
火 水 土 風 光 闇
そしてこれらをすべる精霊が属性ごとに一体ずついる。
その6体の精霊を始原精霊といい、その上に立つ存在が
『精霊王』と呼ばれている。
ちなみに光と闇の精霊は初代勇者が魔王を討伐した後姿を消したという。
だいたいこんな感じのことが書かれていた。
ケンタは魔王という単語に引っ掛かりを覚えたのでその存在の記述が書かれている本を探した。
しばらくすると目的の本を見つけた。
『勇者と魔王について』
と書かれている本だった。
そこにはこんなことが書かれてあった。
今から500年前、当時のノルトライセン神国の教皇が神からのお告げと言い、巫女達にこう言った。
「創造神グロリア様は言われた。今から1年後、世界を巻き込んだ災いが起きる。その防衛策として、異界から強力な戦士を召喚せよと。召喚するためには巫女達の力を合わせて魔力を集め、時空に穴を開ければ良いと言われた。時空に穴を開ける魔法陣はグロリア様が与えてくださるとのこと。」
そうして神都ノルトの神殿にグロリアから与えられた魔法陣が現れた。そこに巫女達は魔力を集めて、流し続け、起動した。
その後すぐに1人の少年が現れた。
初代勇者の誕生である。
グロリアは教皇に言った。
「勇者は災いへの適性が良いです。」と。
教皇は言葉の意味が分からなかったが、
心に留めておくことにした。
初代勇者の召喚からおよそ1年後、ギガンティス大陸の北方に強大な魔力反応が現れた。
魔王の誕生である。
魔王はオークほどの大きさで魔王の魔法で魔族という新たな種族が現れた。
魔族は魔王に絶対服従。
そしてそれを世界の危機と認識したノルトライセン神国は周辺国家に魔王討伐軍を組織してくれと頼んだ。そうして集まった兵はおよそ100万人。そして勇者と勇者の部下数名を筆頭に魔王のいる北方へ進軍。そうして激戦の末、勇者が魔王を倒した。
その後、光と闇の精霊は姿を消した。
と書いてあった。
どうやらケンタがいるのはギガンティス大陸という大陸らしい。
ケンタは疑問に思った。
強大な反応が現れたっていうがどういうことがあって、魔王が生まれたのだろうか?と。
その理由は書いていなかった。
もしかすると本には書けない何かがあるのかもしれない。
そう悟ったケンタであった。
そしてケンタはハッと気づく。
グロリアの口調が変わっているということを。
それも含めて調べなければならないと考えたケンタであった。
中級編と上級編、そして勇者と魔王の本を読み終えると夜になっていた。
昨日のように夕食を食べた後、ケンタはジャクソンに言った。
「今日で大体のことは学べた。もうこの屋敷にいる意味はないようだ。すまないが、今日だけ泊まらせてもらえないだろうか?」
「ふっ、そうか。分かった、今日だけだぞ?」
「ご厚意、感謝する。」
ケンタはそう言って食堂を出て、昨日泊まらせてもらった部屋へ向かった。
部屋へ入ると中は少し薄暗かった。
ケンタは窓を開けて外を見た。
そこには、月は見えなかった。新月のようだ。見上げると地球と同じくキラキラと星が煌めいている。
ケンタは思った。
世界は広いと。後学院に入学するまでおよそ半年。限られた時間の中で自分の目で確かめてみたいことが今日たくさんできた。何者にも縛られずに、気ままに生活することができる。何もしなければ何も起きない、何かすれば何か起きる。そんな世界だからこそ知識欲が疼く、と。
ケンタは知らないという事が嫌いだった。
幼少期、森崎家が作ったカリキュラムがあった。そこには勉強があった。ケンタは勉強が得意だった。そして知識を欲した。祖父に知らない事を教えてもらえると知ってからたくさん話をした。そしてたくさんのことを知ったケンタは努力を積み重ね、やがて天才高校生と言われた。
天才高校生と聞くと元から天才なのかと考えるかもしれないが、ケンタは努力の天才だった。誰にも見えないところで努力し、積み重ねた知識がケンタは好きだった。
そんなケンタがこの世界を知りたいと思うのは当然のことだろう。
そうしてケンタは窓を閉めて、ベッドに体を預け意識を闇の中に落とした。
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