第4話:天才高校生は冒険者になるようです
しばらく歩いていると、目的のである冒険者ギルドのエンブレムが見えた。
周囲には酒場、武器屋などがあり、わいわいと賑わっている。歩いていて思ったのが家は一階建てが多いようだ。冒険者ギルドは二階建てで、遠くの方に見える、いかにも領主の屋敷らしい家は3階建てのように見える。
ケンタは目的である冒険者登録をするため、ギルドの扉をゆっくりと開ける。すると中には、数人の冒険者と思われる男たちがケンタの方を見る。
「おい、坊ちゃん。こんなとこにきてどうしたんだ。くる店を間違えちまったのか?」
そう声をかけてきたのは大剣を背負っていて、それを軽々と持ち上げられると思われる丸太のような太い腕を持った、30代くらいの強面のおっさんだった。
ケンタは、鑑定してみるかと思いじっくり見つめると、
名前 ムキオ
年齢 32
種族 人間族
LV 13
職業 Dランク冒険者
称号 筋肉を鍛えし者
筋力 143
魔力 43
知力 23
敏捷 34
運 14
基礎スキル 身体能力強化・大
火魔法・小
と出てきた。
ケンタは思わず笑ってしまう
(なんだよ、ムキオって。でも人の名前だから笑っちゃダメだよな。うん、笑っちゃダメだ。ふふっ。)
「何笑ってんだ、テメェ、俺に喧嘩売ってんのか?」
そう言って詰め寄ってくるムキオ。
「いや、あんたの筋肉に見惚れてたんだよ。
どうやったらそんな筋肉が仕上がるんだ?」
「お前っ、俺の筋肉に惚れてたのか!なかなかみる目があるじゃねえか。この筋肉はな、毎日欠かさず筋肉をいじめて、肉をたくさん食ったらこんな太い腕になるんだよ。どうだ、触ってみるか?」
そう言われケンタはおそるおそるムキオの腕を触る。
「柔らくて、しなやかな筋肉だ。相当食事に気を使ってるみたいだな。」
「お前っ、そんなこともわかるのかよ。大したもんだぜ。ん?お前、すらりとしている割には結構筋肉ついてんじゃねえかよ。ちょっと見せてみろ。」
そう言われ腕を巻くって力を入れると
「鋼のような筋肉だな。相当、鍛えてるようだ。と言うことはもしかして、腹筋も鍛えてるのか?」
「ああ、鍛えてるぞ。見てみるか。」
そう言いつつケンタは腹筋を見せるため服をあえて脱いだ。
「お前っ、筋肉が割れてやがるじゃねえか。
硬いぞしかも、どんなトレーニングしたらこんな肉体になるんだ?教えてくれよ。」
「すまない。冒険者登録をまだしてなくてな。依頼をこなして金を稼がないといけないから、余裕ができたら教えるよ。」
そう言われてムキオは目を輝かせて
「ああ、分かった。なんかあったらDランク冒険者の俺が力になるぜ。」
「なんかあったときは、よろしく頼むよ。」
そう言ってケンタは受付らしき人がいるところへ向かう。
後ろでなんだかざわざわしてるがまあいいだろう。
ケンタは何も知らないが、ここだけの話、Dランク冒険者であるムキオはこの町で有名なヤンキーみたいな存在だった。ムキオと目があったら最後とまで言われて恐れられているのだ。そんなムキオと面と向かって話をしていたケンタは、どんな人物なのだろうと。しかもそのムキオと笑い合って、挙げ句の果てには力になると言われていた。そんなケンタを見ていた他の冒険者は、絶対に敵にはまわしてはいけないと、心に誓ったのだった。
受付には金髪青目のロングヘアでおっとりしたような顔立ちの受付嬢がいた。
「本日はどのような、ご用件で来られたのですか?」
「冒険者登録に来たんだ。」
「そう言うことでしたら、少々お時間をいただきますね。この紙に名前、自分の得意とする武器や魔法をお書きください。」
そう言われて、ケンタは紙に名前と武器や魔法を全部書いた。
(やっぱりファンタジー世界は剣と魔法だよな。)
そう内心で思いつつ、さっきの受付嬢に渡す。
すると受付嬢は
「あのー、ケンタさん、剣はわかるんですけど、魔法が全部使えるってどう言うことですか?」
「ん?魔法って全部使えるもんじゃないのか?」
「それはそうですよ、スキルを習得してもせいぜい2つや3つですよ?」
そう言われて思い出す。確かムキオは基礎スキルの身体能力強化・大と火魔法・小だったはずだ。そう考えるとこの世界では2つや3つが普通なのか。
「まあ、そこは詮索しないでくれ。どんな人でも、1つや2つ隠したいものもあるものさ。」
「そうですね。詮索して申し訳ありません。それでは冒険者カードを発行するのでしばらくお待ちください。」
そう言われて待つことおよそ5分、受付嬢が目の前に来て説明を始める。
「冒険者のランクはSSからGランクまで幅広くあります。と言ってもSSランクはこの国の初代国王様だけなんですけどね、Sランクも世界に5人しかおりませんし。上級冒険者の大半は大体Aランク、Bランクの冒険者さんですね。中級冒険者がCランク、Dランク冒険者、下級冒険者がEランク、Fランク、Gランク冒険者と続いております。そしてこのカードは再発行はできますが銀貨一枚かかりますので、無くさないように。町に入る時も使いますからね。何か質問はありますか?」
そう言われてケンタは疑問を口にした。
「ああ、聞きたいんだか、この国の名前ってなんなんだ?」
「この国の名前ですか?ええと、この国の名前はローベルク王国です。ちなみにこの町はエアフルト、王都から馬車で5日の距離です。あ、王都の名前はローベルクスです。」
「そうか、それともう一つ聞きたいんだか、貨幣の価値って大体どのくらいか教えてくれるか?」
「貨幣の価値ですか、鉄貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨10枚で大金貨1枚、そうそう私も目にかかりませんが、大金貨10枚で光金貨1枚となります。大体銅貨5枚ほどで一食が食べられるほどですね。」
ということは、銅貨1枚が100円の価値ということか。
まとめてみるとこんな感じ、
鉄貨1枚 10円
銅貨1枚 100円
銀貨1枚 1000円
金貨1枚 10000円
大金貨1枚 100000円
光金貨1枚 1000000円
となる。
ケンタはそれを聞いて、この世界のお金の価値を理解した。
「分かったありがとう。今から受けられるクエストってあるのか?」
「そうですね、あ、この町の北側の門を出て少し歩くと、魔の大森林という場所があるんですが、そこの手前の草原は、冒険者の傷を癒すポーションの原料となるリカバリー草の群生地なんです。在庫が少なくなってきているので、採集クエストがありますが、いかがいたしましょうか?」
「わかった、それを受注する。」
俺が来た方向は、町とは別方向に太陽があったからおそらく南だろう。とすると北はそのまま行けば魔の大森林とやらが見えるだろう。
「クエスト受注完了しました。クエストは1ヶ月間有効ですがその期間を過ぎると、クエスト失敗となってしまいます。クエスト失敗が増えてしまうと
、ランクアップの際の減点対象になるのでお気をつけ下さい。では、いってらっしゃいませ。」
「ああ、行ってくる。」
そう言葉を交わしたあと、ケンタは冒険者ギルドを出た。
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