概要
死神に諭されようと、それに何の意味もないと知っていながらも、呪いをかけるしかできない存在。
しかしある時、彼は出会ってしまう。
自らの呪いが通用しない、市間いちるという絶望的な少女と―
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- ★★★ Excellent!!!回り続ける呪いの永久機関
観覧車に自縛しちゃった悪霊と、それを説教する死神、そしてそこに現れるひとりの女の子の物語。
不幸とか恨みとか悪意とか不条理とか、そういうのがぐるぐる煮詰まっていくようなお話です。
特筆すべきはキャラクター、というか、彼らの立場やものの見方の違いです。悪霊と、死神と、いろいろしんどい女の子。まさに三者三様といった趣で、それぞれの立場に感情移入したり、あるいは反証を考えてみたりと、読み進めながら脳内でごちゃごちゃやる感覚が楽しいです。
中でも一番惹きつけられたのは、やっぱり視点保持者であるところの悪霊さん。彼の物事の考え方、存在の希薄さをそのまま表したような、なんとも悪霊らしい地の文の描写が好き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!満たされるべき空虚
誰の手によるのか忘れたし題名も失念したが、とある作品の中で空き瓶を集めるのが趣味の女性が出てくる。彼女はマンションの一室を別な女性と分け合っており、その相手から『放っておくと私達の部屋は空虚によって満たされるという甚だ矛盾した状況になる』という主旨の心情が吐露されていた。
本作の主人公もまた、空虚によって満たされた矛盾だらけの存在だ。それが奇妙にも好奇心を刺激するのは、観覧車という舞台背景ともう一人の登場存在によるだろう。
本作で注目すべきは、誰もが作中に登場する必然性を持っているのに誰もが空虚を抱えている点にある。それを一つ一つ検証するのはネタバレなので控えるが、逆に申さば是非とも直…続きを読む - ★★★ Excellent!!!廻る観覧車の中で意味について考える
なにかに意味があるのかないのかを考えるのは、大体においてその事象に嫌気がさしている時や疑問をもってしまった時が多いような気がします。
でも一旦そこに意味がある/ないを決めた人は客観的に見てある種格好良さがにじみ出てくるなあと思います。
この話の主人公は観覧車に取り付く地縛霊で、信条として自身を無意味だと思っています。開き直った幽霊ほど怖いものはありません。死神の説得にも動じずに観覧車に近づく人々を呪い続けます。そこに呪いが効かない訳あり少女が現れて……というお話です。
短いながらもよくまとまっていて、少女と地縛霊の関係性やときおりの台詞に胸が打たれる作品だと思いました。特に主人公が語る意…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛情で人は育つ。じゃあ死んだ人たちは?
観覧車に居座る悪霊。
生前の記憶は無く、どうして自分が死んだのかも分からない。
彼が唯一抱いている感情は、生きている人たちに対しての憎悪だけでした。
観覧車に乗る者を不幸にする呪い。
死に至らしめることはなくても、絶縁や不慮の事故を起こしてしまう。
そんな悪霊さんでしたが、とある少女と出会い、知らずのうちに考えが変わっていきます。
死神曰く――愛を知った、のです。
人は愛情によって育てられる。
与えられた分だけ、他人にも与えられるのだと、どこかで聞いたことがあります。
そう考えてみると、記憶のない観覧車の悪霊さんも、生前はちゃんと誰かに愛されていたのかもしれませんね。
※この度は…続きを読む