観覧車、廻る、馬鹿みたいに

作者 神崎 ひなた

満たされるべき空虚

  • ★★★ Excellent!!!

 誰の手によるのか忘れたし題名も失念したが、とある作品の中で空き瓶を集めるのが趣味の女性が出てくる。彼女はマンションの一室を別な女性と分け合っており、その相手から『放っておくと私達の部屋は空虚によって満たされるという甚だ矛盾した状況になる』という主旨の心情が吐露されていた。
 本作の主人公もまた、空虚によって満たされた矛盾だらけの存在だ。それが奇妙にも好奇心を刺激するのは、観覧車という舞台背景ともう一人の登場存在によるだろう。
 本作で注目すべきは、誰もが作中に登場する必然性を持っているのに誰もが空虚を抱えている点にある。それを一つ一つ検証するのはネタバレなので控えるが、逆に申さば是非とも直に確かめて欲しい。
 その時、自分の心に空虚が巣食っていると自覚している読者については、どうすればそれが満たせるのかなにがしかの考察の糧になり得るだろう。
 必読本作。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

その他のおすすめレビュー

マスケッターさんの他のおすすめレビュー 1,333