作中の登場人物「作者」がカクヨムのホラーは読み合いばっかりなのでは?という仮説を立て、調査をするところから物語が始まる。調査が進むにつれてだんだんと「作者」自身についてや「友人」について分かってくるとともに、カクヨムに巣喰う怪物?が姿を現し始める。物語が進むにつれてだんだんと恐怖を感じてくる。私はホラーや怪談が苦手なのだが、この作品があまりにも面白く魅力的で続きが気になり、読むのをやめることができなかった。ラストまで読んだとき、ぞっとして鳥肌が立った。
レビューを書くのに慣れていないので分かりにくかったり、間違っているところがあるかもしれないです。申し訳ない。
あまり目立たないがカクヨム内で着実に一定の読者をキープしているジャンルが存在する。それが「カクヨムの分析」だ。どのような作品がランキング上位に挙がりやすいのか、どうすればいっぱい★がもらえるのか……そのようなカクヨムで利用できる知識を共有して、より多くの読者の獲得を目指す大変ためになるジャンルである。
本作の作者はこれまで書いていたラブコメジャンルから離れ、ホラー作品に初挑戦するのだが、そこでカクヨムのホラー作品にある重大な傾向を見つけ出してしまう。
「ホラー……読み合いばっかじゃね?」
そう作者はカクヨムのホラー作品は作者たちが互いに読みあっているだけで、純粋な読む専門の読者は少ないのではないだろうか? という実に挑戦的な仮説を打ち立ててしまったのだ。作者はこの説の正しさを検証すべく、実際に書籍化された作品を例に挙げながら、ホラージャンルの作者たちに取材を行い、カクヨムに潜む闇を調査していく……!
ちなみにこうした分析を行っている作品、カクヨム内のジャンルでは「創作論・評論」に分類されることが多いのだが本作のジャンルは「ホラー」である。……ホラー作品を対象とした分析だから「ホラー」になっているのかもしれないが、いずれにせよ読み続けるにつれてゾッとする気持ちになることは間違いない。カクヨムの中でしか成立不可能な異形の作品だ。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)