概要
十五才の頃を覚えているか
ある春、麗らかな陽の射す通学路で。
私は血も凍らせるような妖気と、身も心も緩むような陽気じみた芳香を纏う歪な怪異と出会った。
――これは、自分の居場所を探しているかわいいかわいい白猫の、何百年にも渡る伝説の続き。
――あるいは私が決別した、でも大事にしたい頃の物語。
私は血も凍らせるような妖気と、身も心も緩むような陽気じみた芳香を纏う歪な怪異と出会った。
――これは、自分の居場所を探しているかわいいかわいい白猫の、何百年にも渡る伝説の続き。
――あるいは私が決別した、でも大事にしたい頃の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!大切な宝物が言葉になった作品
一つ歳をとったとき、一つ何かを知ったとき、私達は成長して、何かを落としてしまう。そんなモノを優しく丁寧に思い出させてくれる作品でした。
穏やかな空気を柔らかな文章が綴られて、きっとこの一人と一匹はこんなふうに儚くて美しい時間を過ごしてきたんだろうな、だんだん仲良くなっていったんだろうなとお話の外まで想像させてくれました。それもあって、ラストシーンが胸に響いて仕方なかったです。
物語として短編でこんなにも綺麗にまとまるものなのかと絶句しました。全部が綺麗。
持っていたはずの大切な物。握っていたはずなのにいつの間にか手放してしまっていること、手放さずにはいられないこと。大人になるということを…続きを読む - ★★★ Excellent!!!十五才、夏。あの美しい《猫》とのひと時を忘れない
この島にはひとつの言い伝えがある。
それはそれは美しい姿をした猫又がいて、数十年に一度、ひとりのこどものもとに姿を現し、しばらく側に寄り添って暮らしてから、ふっといなくなってしまうのだという。一晩だけ咲き誇る玻璃の華をひとつ、残して……
…………
……
猫はふしぎないきものです。
もふもふしていて、ちょっとばかりきまぐれだったりあまえてきたり、とってもかわいいのに、時々ひどく透きとおったまなざしをして、なにもないはずのところを眺めていたり。
だからか、むかしから猫には人の理解がおよばないちからがあると考えられ、《鍋島騒動》やら《猫南瓜》やら……あるいは《猫の踊り場》や京都の《称念寺》通称猫…続きを読む