概要
「ねえ、蛇をみせてあげようか」彼女はそういって、スカートをまくりあげた
蒸し暑い夏の午後、しなやかな素足に藍の鱗。
柔い生地のワンピース。締まった膝頭に絡みつく美しき蛇。
僕の頭に焼きついて離れない、遠い日の情景が夏ごとに甦る。
藤香。君の蛇は健やかで美しいままか。
柔い生地のワンピース。締まった膝頭に絡みつく美しき蛇。
僕の頭に焼きついて離れない、遠い日の情景が夏ごとに甦る。
藤香。君の蛇は健やかで美しいままか。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!女には秘密がある。
蛇とは?
この疑問の答えは簡単そうに見えてそうではない。
女性=蛇 となってくるとこれは艶かしくも官能的な空想を見てしまう。
象徴的に蛇をとらえると、強靭しなやかな体、毒を含む捕食者、嘘、知恵、総じて悪女の条件を満たしているように感じる。
では、全ての女がその悪女足るのか? これまた難しい問題で、二元論的な解など存在はしない。
重層的な女の本性を感じるには僕などは経験が足りない。
どこか青臭い臭気の立ち込める空間設計。絡み付くような厭らしさ。
神秘のベールに包まれる女の裸体に、男は知らず知らずに蛇を飼い慣らす女を夢想するのかもしれない。
とまあ、レトリックは兎も角も耽美なお話に胸が疼きました。 - ★★★ Excellent!!!遠い夏の日の淫靡な熱を帯びた憧憬が蛇の毒となって人生を麻痺させ続ける
繊細かつ淫靡にまとめられた幻想譚でした。丁寧に紡がれた言葉が物語の耽美な空間を作り出し、懐かしく甘いうずきを彷彿させます。目の前に情景が浮かんでくるような言葉選びが巧みで素敵です。
視覚による描写を主体になっていますが、温度(体温、気温)や触感(汗など)、匂いは体験をよりリアルかつ生々しく演出できるので取り入れてもよいかもしれません。ささいなことですが、「神は細部に宿る」と言いますので。
欲を言うなら女と蛇の組み合わせはありがちなので、もっと意表を突くようなものでもよかったかもしれません。意表を突くような話でもないんですが。