第7話 エルフ、姉と再会する
「ご主人様、早く出た方が良いですよ?そうしないと何か良くないことがありますよ!!」
姉が来ることにどきまぎしていること数分、とうとう俺の部屋に、チャイムという名の桜 舞花の声が鳴り響いた。
この際、チャイムが毒舌になっていたのは後回しにしておくとして、この姿でいざ姉の前に立つと思うと、ちょっとした恐怖が湧いてくる。
もしかしたら信じてもらえないんじゃないか、と。
俺は玄関のドアの前に立ち、一つ深呼吸した。辺りは静かになり、何も聞こえないーーーーと思ったが、ドア越しから声が聞こえてくる。
「えーくんっ、居たら開けてほしーな〜?」
緊張感がある俺に比べて、扉の向こうにいるであろう姉の詩織のほうは相変わらずふわふわ感駄々漏れだ。
「調子狂うな……」
俺は頭を抱えた。そしてその時だった。
ガチャッ
ドアの開く音がした。
「えーくんっ!ーーーーふえっ?」
ーーーーーーーーーー
私、詩織は、弟のえーくんがしっかり生活出来ているかを確認するために、えーくんの家に向かっていた。
「えーくん元気かなぁー?」
といっても私は、えーくんと会いたいだけである。親に様子を見て来て欲しいと頼まれはしたけれど、それは二の次で、本当はえーくんと会いたかっただけだ。
それにしてもえーくん、電話したとき女の子っぽい声で喋ってた気がする。
本人は「風邪引いてるだけだから気にしないで」とはいっていたけど、私にはわかる。
あれってえーくんの彼女の声だと思うの!
でも残念、えーくん私と結婚してくれるって言ってくれてたのに……せめて連絡だけ欲しかったなぁ……
そうやってえーくんのことを考えながら落ち込んだり嬉しくなったりして歩いていると、時間が過ぎていき、あっという間にえーくんの家のまで到着した。
私と会ってえーくん喜んでくれるかなぁ?
そんな期待を胸にしまいつつ、私は玄関のチャイムを鳴らした。
でも、何故か誰もでない。寝ているのかなぁ?
ただ聞こえてないだけかもしれないため、念のために何回かチャイムを鳴らす。が、それでもでない。
「えーくん、えーくんっ、居たら開けてほしーな〜?」
大きな声で言って見ても反応がない。
こうなれば仕方がない。私とえーくんの感動の再会を邪魔するこのドアをあれをして無理矢理開けるしかない。
必殺クリップ!!
これでこのドアの鍵を開けちゃいます!
クリップをこうして、鍵穴に差し込む。うん?何かおかしい……もしかして…元から鍵空いてる?
私はそれを知ると、弟の名前を言いながら真っ先にドアを開けた。
「えーくんっ!ーーーふえっ?」
そこには、この世のとは思えない美少女が立っていた。
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