第27話 エルフのお姉さんはドジっ子属性。
そして再び撮影に入ってから数十分が経過した。そこのタイミングでオーナーさんはカメラから目を離した。
「エルちゃん、撮影お疲れ様ー。私とこの二人はもうちょっとやる事があるから、先に下にある休憩室で休んでいてちょうだい!」
そう言って堀江さんと未玖を連れて、俺に喋る暇も与えずに奥にあるモニターと睨めっこし始めた。
どうやら俺の役目はここで終了みたいだ。俺は言われた通りにエレベーターで休憩室に向かおうとしたが、その最中に声がかかった。
「お疲れ様、えーくん!!」
姉さんだ。姉さんはそういって俺に汗拭きタオルとスポーツドリンクを渡してくれた。
「お、姉さんサンキュー」
「うん、どういたしましてだよっ!」
そう言って笑顔を見せてくれる姉さんに微笑しながらもエレベーターに乗り、俺はスポーツドリンクのキャップを回して開け、一気に半分くらいを飲み干した。
そしてスポーツドリンクを巻いていたおかげで冷えていただろうタオルで汗を拭った。
「ふぅ〜、冷たくて気持ちいいなぁー」
「えっへんっ、そうでしょー?私がふぅーふぅーして冷やしたんだよー?」
えっ?マジかよ……?ってか、ふぅーふぅーしてこんだけ冷えるとか姉さんは雪女か何かかよ!?まあ、冷たけりゃいいけどさ。
いや、でも待てよ?
これは姉さんの息が隅から隅まで隙間なく冷えきったタオル。これはこれでありでは…?!
「っていうのは嘘なんだけどね?」
「嘘かよ!?」
俺のツッコミが炸裂したところで丁度よくエレベーターが一階に到着し、ドアが開いた。
「じゃ、えーくん行こう!えーくんの撮影中に休憩室の場所教えてもらったから場所はバッチリだよ!!ほらこっち!」
切り替えはやっ!?と思いながらも、姉さんはエレベーターから出て早々に案内を始めた。が、しかし。姉さんは歩いた廊下を早速引き返した。その目はあたふたしている。
「あれっ?こっちな筈なのに?」
姉さんはポケットからパンフレット?ぽい紙を取り出し、それと睨めっこを始めた。
いや、姉さん、場所はバッチリだよ!とか言ってたよね!?
そう思いながらも、姉さんが手に持っているパンフレット?を覗いた。するとそこには、さっきまでいたショッピングモールのパンフレットが握られていた。
「あの……姉さん?これ、違うやつ……」
そこでやっと気付いたのか、姉さんは顔を赤くして、パンフレットでそれを隠してしまった。
「もう、お姉ちゃん、恥ずかしくてお嫁に行けないよ〜!」
俺の休憩室時間はもう少し後になりそうだ……
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