第10話 エルフ、姉さんには勝てない
「ふぅ〜、えーくんご馳走さまでした」
「お粗末さまでした!!っていうか!!危うく人生どん底に落ちるところだったぞ!!」
「ごめんね、えーくん。でも、耳美味しかったよ?」
「このダメ姉反省してねぇ……」
ああ、そんなに目をキラキラさせて……また隙を見て何か企もうと考えているな。
まあ、これ以上ここで姉さんに追求するのも嫌な予感しかしないため、それはまたの機会にということとして。
「はぁ……何とか男の尊厳は守れたな」
いやー、一安心。
「でも、今はえーくん可愛い女の子だよ?」
「それでも心は……」
「えーくん女の子!だよ?」
「は、はい……」
姉さんに言われた的確な突っ込みにダメージを喰らう俺。そして追い討ちに俺の男の部分を否定され、女の子と無理矢理認識させようとする。
天然の姉さん恐るべし。
「それにしてもえーくんの部屋、ゲームやアニメグッズばかりだね〜。ちゃんとご飯は食べてるの?」
「アニメグッズを揃えたりゲームをすることはもちろん、カップ麺も毎日食べてるから問題無いぞ?」
「えっ?カップ麺だけ?」
「いや、カップ麺をアレンジして食べてるからそうであってそうで無いと思うぞ?そのおかげで栄養取れてる気がするし」
「えーくん、それはカップ麺しか食べてないのと同じだよ?栄養も偏りすぎだよ」
姉さんは俺の食生活に呆れ顔をしている。
「それでえーくん、その服装はどうしたの?お姉ちゃんにとってはご褒美だけど、そんな服装してるといつか襲われちゃうよ?いつからそんな格好しているの?」
「いや、もうあなたに襲われましたけど?」という突っ込みは言うのをやめておこう。
「まあ、昨日からだけど?」
「ということは昨日からお風呂入っていないの?」
「まぁな。ジタバタしてたし……」
「トゥイッターに写真あげるぐらい?」
「うっ、そうです……」
「しかたないなぁ。えーくんはお姉ちゃんがいないとダメなんだから。じゃあ行っておいで、えーくん」
「うんっ?どこに?」
「いや、お風呂だよえーくん、女の子の身体は毎日しっかりお手入れしないとダメなんだよ!」
「いや、大袈裟なぁ……」
「言い訳は後にして入っておいで、えーくん。私はご飯作ってあげるから」
「あ、うん。だけど、うちに料理できる器具も食材も無いけど……」
「それなら大丈夫だよ?」
そう言って姉さんは持ってきた大きなバッグから食材を取り出した。
「えーくんがどうせ不健康な生活してると思って持ってきておいて良かったよ」
「……」
何も言えねぇー。
取り敢えず俺は、心身共に綺麗にするために、お風呂に入ることにした。
そしてこの時の俺は、この後お風呂であんな出来事が起こるのを知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます