第37話 エルフの寄り道。
「はい、伝えなきゃ行けない連絡は以上なので今日はこれでおしまいです。では皆さん起立!」
先生の合図で皆んなが席を立つ。
「気を付け。礼!」
「「さようなら(〜)!」」
挨拶と同時に半分くらいの人が教室から飛び出ていく。残りの半分くらいはまだしたら足りないのか、グループになって雑談をしている。
その中でも特に目立つのは教卓の前。名前は忘れたが(さっき自己紹介してたけど)、今年度から新たに教師になった、謂わゆる新米女教師らしい。そして美人で俺よりははないが、巨乳というステータスも兼ね揃えているらしい。
そのためもあってか、先生の周りには、下心丸出しな男子諸君が他のクラスからも群がっている。
しかしそのいやらしい視線は俺にも結構な数向けられているわけで……。
それだけならまだ何とかなったかもしれないが、隣からはまだ痛い視線が向けられている。
はぁ……。終わったらあの二人にもすぐ車に戻ってきてとも言われてたし、足早に退散するとしますか……。
俺は今日貰った学校の手紙を持ち、足早に教室から脱出した。
教室から逃げた俺は、急いで靴に履き替えて学校を後にした。しかし、それでも周りの視線が気になり耐えられなかった俺は、配布された手紙で顔を隠して人気が無いところまで一目散に逃げた。
そしてたどり着いたのが学校の裏にある公園。バス停が近くにあったり、自転車で通る人も僅かながらいるものの、公園の中まで目が回らないみたいだ。
「ふぅ……やっと暑苦しい視線がなくなった……」
俺は気が抜けるのと同時に近くにあったベンチに腰をかけた。
「なんかどっと疲れたし……」
視線が向けられることは、ある程度分かっていたことだった。だってこの姿は、この世の中には普通存在しないエルフ。言ってしまえば、人間じゃない。
それプラス自画自賛できるほどのこのスタイルと美貌。まさに異端。
あぁ、もぅ!これ以上考えても何も変わらないじゃないか!もう考えるのはやめだ!
「あーあ、なんか喉渇いてきた」
そういえば、学校にいる間は何も飲んで無かったからな。
俺は立ち上がり、公園を出てから目の前にある自販機で飲み物を買うことにした。
そしてポッケからお金を取り出して……あっ、スマホ以外手ぶらできたのを忘れてた。
これじゃあ、オレンジジュースも買えない。
仕方ない。諦めるか……。
買えないのならここにいる意味はないか。俺はその場を離れて、車に戻ることにした。
しかしその時だった。
ピッ。ガッシャン。
俺の隣で飲み物を買う人がいた。そして買ったオレンジジュースの片方を俺に差し出した。
「はい、飲みたかったんでしょ?」
「えっ?」
そうやってオレンジジュースを差し出してきた人物は、さっきまで俺のことを睨んでいた、隣の席の女の子だった。
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