第20話 エルフ、JKになる?


俺は服を脱いでこの衣装を着ていく。途中で◯万円の値札が見えたりしたが、いっそそれはどうでもいい。

俺は姉さん達に変な服を着せられることさえさせなければいいのだ。どうせさっきと同等かそれ以上のものを選んでくるに決まってる。


「しかしこの服、胸のあたりがすごくキツイ……」


胸あたりにあるボタンが飛んでいきそうなくらいキツキツではあるが、今日くらいはもってくれるだろうか?あとで未玖に頼めばいいだろうし。

俺は脱いだ服を畳み、手で持って試着室の外に出た。


そして靴を履いて前を向くと、いくつかの衣装を手に持っている姉さんと未玖が目の前に立っていた。


「あっ、未玖と姉さん」

「あっ、エルやっと出てきたわね。この衣装を着てほしいんだけど……って、その服装は?」

「いや、俺でも着れそうな服をと思って見てたら丁度よく学校の制服を見つけてな。しかも耳を隠せる帽子が付いてくる優れものなんだが……これじゃダメか?」


そう、俺は結果的に何かのアニメの制服を着ている。詳しくは何かは分からないが、他のものと比べて比較的マシだろう。たぶん。


「別に駄目じゃないけど……ねー?」

「うん、凄く似合ってる!けど……」

「うん?何処かおかしいか?」


姉さんと未玖の反応は悪くない。けれど、何かご不満の様子。


「いや、その胸よ!今にもボタンが飛んでいきそうよ!!」

「うん、えーくんのボタンぷるぷる震えてる!」

「えっ?」


胸のボタンを見ると、確かにボタンがぷるぷる震えていて、今にも飛んでいきそうだ。さっきまでは大丈夫だったのに。


「ま、まあ、今日くらいはもつだろうから大丈夫だろ。ほら、動いても大丈夫だし」


俺は腕を動かしたりその場でジャンプしたりして、大丈夫なことを証明した。しかし、その時だった。

ついに三つのボタンの寿命が迎えた。


「プチっ」

「「「あっ」」」


そのボタンは様々な場所へと勢いよく飛んでいく。


一つ目のボタンはエルの額を撃ち抜き、エルはヘッドショットによりその場に倒れて意識を失った。

そして二つ目三つ目のボタンは、詩織と未玖目掛けて飛んでいく。

二人ともそれを避けようとしたが、そのボタンは二人の反射速度に勝り、見事二人にもヘッドショットを決めたのだった。


よって数分後。


店員が三人の様子を見に行くと。


「えっ!?死んでる!?」


そこには三人の死体が発見された。

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