第3話 エルフ、ネットデビューしてみた。
バナナだけのお昼ご飯を済ませると。
ネットで注文した肉は、夜ご飯に合わせて夕方頃に届く予定になっているため、それまでの時間は何もやる事がなく、暇になってしまった。
こんな時こそ外に出て暇つぶしにコンビニに行きたいのだが、それではバレないようにネット注文した事が無駄になってしまう。
なら部屋で出来るものはと探してみるのだが、この部屋で暇を潰せるものといったら、ゲームかアニメの他はない。だが、今はやりたいという気分ではなかった。ということで、スマホの力を借りて探してみることにした。
早速、《室内、暇つぶし》と検索にかけてみる。
すると、『一人で部屋で暇つぶしする三つの方法!!』というサイトを見つけ、それをぽちってみた。
「えーと……人生計画を立てる?」
いや、俺人生計画するほど人生成り立ってないし。てか、最初から暇つぶしの方法がおかしくないか?
でも、まあ、これで暇つぶす人もいる……のか?
「次は……おっさんをレンタルしてみる?
えっと……
人生相談、引きこもり、ニート大歓迎!!TSしちゃったとかあり得ないこともおっさんに相談してみてください!!力になりますよ!!
そうかそうか、そんなのもありか。って、相談ごと的確過ぎだろ!!」
スマホを投げたくなる衝動に駆られたが、それを抑え、一度時間を置いて冷静さを取り戻す。
「最後は……これを見ている人たち、外に出た方が楽しいよ?って、もういいわ!」
スマホを布団に叩きつけた俺であった。
少し時間を置き、改めて違うサイトを検索してみた。
内容を確認してみるが、今度は健全なようだ。
でも、このサイトに書いてあるものも、俺が考えていた、ゲームや一人で遊べないものが多く載せられていた。
ボードゲームとかトランプを一人でやれって、どんな罰ゲームだよ……そう思いながら画面をスライドさせていく。すると、途中で気になるものが目に入った。
「自分で写真や動画を撮ってネットに上げてみるか……」
今の俺にピッタリな気がする。さらに、このエルフな姿の俺をアップすれば間違いないだろう。この耳とか髪も本物だとは認識しないと思うし。
また、エルフになる前の俺の姿ならば映えはしないだろうが、今の俺は美少女エルフだ。人気間違い無いだろう。
だが、一つ懸念材料がある。それは、俺のこの姿が本当に可愛いかだ。
俺にとってはこの上ない可愛さだと思うのだが、他の人が俺と同じ感性をしているわけじゃないため、この姿を可愛いくないと言ってくる人がいるかも知れないという事だ。
まだ、可愛い可愛くないとかだったら、子供の痴話喧嘩みたいでいいのだが、死ねとかゴミクズといった過激なコメントが来たら、俺のメンタルが持つか分からない。
そういう事を踏まえると、ネットに上げるかどうかは悩みどころだろう。
でも、そうしないと暇は潰せないしなぁ……
「うーん……一か八かでやってみるか……」
俺は、自分の姿をネットに上げる事を決断した。
俺は、スマホを片手に早速撮影を試みていた。
今回の撮影というか、写真を一枚アップしてみるだけにした。さすがの俺も、最初からふざけた動画を上げてネットデビューはしたくはない。
出来るだけ穏便にしたい。それが俺の考えだ。
因みに今回の写真は、自撮りで撮ったものを上げることに決めている。というか、一人しかいないからそれしか出来ない。それだけは理解してほしい。
そして、自撮りした写真をどのアプリに上げるかだが、トゥイッターに上げてみることにした。
これなら俺にも難易度低く、簡単に撮って上げる事ができるだろうと考えたからだ。
ものは試しに早速取り掛かっていこう。
まず、アカウントを開設していく。そしてアカウントの名前は簡素に《エルフ》に設定して、個人情報を入力していく。すると、アカウント登録が完了した。これで写真を上げる事ができる。
俺は、カメラを内カメに設定し、画面に自分の顔が写っているのを確認した。
こ、これでいいのか……?なんか、上げるにしてはちょっと質素過ぎないか?ピースでもしておくか?
「い、いぇーい……」
そしてピースしながらシャッターを切った。これで撮影は終了だ。
後はこのボタンを押してっと。
すると、「トゥイートしました!」と画面に表示された。
これですべてが終わった。そう、すべて終わったのだが、今思う。
「あそこでピースは無いだろぉお〜〜!!」
一人ベッドで悶絶する俺ことエルフであった。
また、本人とは別に、スマホの通知音は鳴り止まなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます