第34話 エルフ、制服を着てみる。
てな訳で今に至る。
俺は着たくもないミニスカート、そして置かれていたワイシャツを羽織ってリボンを付けた。
更に俺がミニスカートなのを考慮してくれてか、ストッキングまで置いてくれていた。
俺はそれを指先からさっと入れていく。
「あれ?上手く履けないぞ?」
疑問に思いながらも、そこから試行錯誤してなんと尻まで引っ張り、ようやく着替えが完了した。
「ふう、これで着替えが終わった……」
俺はおかしなところがないか寝室に置かれていた全身鏡で格好をチェックした。
そこにはやはり男の俺ではなく、エルフで美少女なおれがいた。
「って、これ高校のときの女子の制服じゃねーかよ!!」
★
「ったくあいつは……」
着替え終えた俺は、頭を抱えながら階段を降り、リビングの扉を開けた。その際の服はもちろん女子の制服だ。
扉を開けると、姉さんと未玖が椅子に座って楽しく話しをしているのが見えた。そしてそのテーブルの上には朝ご飯が手をつけられずに置かれていた。
着替えの間は待ってくれていたようだ。
その様子を見ていると、二人は俺に気づいたらしく、一旦話をやめてスマホを取り出した。
「えっ、何してんの?」
「えっ?記念撮影よ」
「何のだよ」
「何って、その服装通り高校の入学式のよ?あっ、お姉ちゃん椅子にかかってるブレザー渡してあげて」
そして姉さんに受け取ったブレザーを仕方なく羽織る。そしてボタンを閉じて未玖の方を見ると、スマホから本格なカメラにすり替わっていた。
「ん?高校の入学式?いつの?俺はとっくのとうに卒業してるぞ?」
「その身体では卒業してないでしょ。その身体も胸以外は高校生っぽいし、丁度良いのよね」
「胸は余計だ。っで、それは分かるけど、入学式は流石に冗談だよ……な?」
すると未玖は無言でポケットから紙を取り出し、それを俺に手渡した。
「この紙は?」と疑問に思いながらもその紙を手に取り広げてみると、その紙の上には、『入学式のお知らせ』と、でかく見出しに書かれていた。そして仕舞いには、丁寧に俺のクラス番号名前が記入されていた。
「えっ?マジで?マジなの?」
「そうよ。マジでマジでマジなのよ」
「…………」
余りにも突然な事で、無言になる俺。そして次第にその現実に戻されていく。遂には未玖に命乞いを始めた。
「嘘だろ?!何でだよ!俺は引きこもりでニートな駄目人間だぞ!!そんな奴がまた高校生活をしろって、しかも女子としてとか、絶対に無理に決まってるだろ!!なぁ?青春っていうのは、俺みたいな奴にとっては一番の毒であり拷問なんだよぉ〜!!マジでお願い!!今からでも考え直してくれよ!そしたら何でもするから!」
俺は泣きじゃくりながら未玖に最初で最後のお願いをする。しかし未玖は聞き入れてくれない。そしてしばらくその状況が続きはしたが、未玖はそれを渋々受け入れてくれた。
「もう決まった事だけどね。まぁいいわ。じゃあ、お姉ちゃんがいいよって言ったら、学校の件、考えてあげなくも無いわ」
「私!?」
「そうよ、お姉ちゃんお願い。お姉ちゃんの一言で目の前のエルフの人生が変わるわ」
「そうだぞ!頼む!俺の人生が底辺か頂点かが決まる!」
姉さんは困り顔になりながら少し腕を組み考え始めた。
「そう言われると緊張するなぁ。……でもね?私はえーくん一番主義だからえーくんがしたいようにすればいいと思うよ?」
「ってことは!?」
「うん、だからえーくんは学校に無理に行かなくてもーーーー「エルの秘蔵写真」うんん、行かなきゃいけないと思うよ!!」
「未玖、今お前横槍した……よな?」
「気のせいよ。ほらじゃあ行くわよ!お姉ちゃんも手伝って」
すると両脇に姉さんと未玖がたち、俺を持ち上げる。
「えっ?」
「さ、車に乗って出発よ!!」
「俺はまだ行くとは言ってねぇぇええーー!!」
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