概要
どんな人が嫌いなのかと尋ねられた私は、嘘をつく人が嫌いだと答えた。そんな私の答えを聞いて、そう言った夏彦。夏彦は、私のことが嫌いなんだろうか。
今ではその嘘が私達の当たり前の日常の一部となっているけれど、そのどうでもいいような嘘一つ一つに、そんな理由があったなんて——。
『秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる』——秋風の音が聞こえたら、全ての謎は明かされる。
秘密を持つ夏彦、夏彦に想いを寄せる秋葉、そして秋葉の親友の和花。三人を取り巻く恋心と、嘘のお話。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!季節華やぐ寂寥感ある文脈と、切なく囀る行間
泣きました。もう、ラストの一頁で泣きました。
冒頭は、青春を模る恋愛ストーリーだと思いました。状況描写と心理描写が巧みで、引き込まれるように活字の世界に首ったけに。溢れる薫りと、美しい世界、聞こえる雑踏と声、それにまるでそこにあるかのように、キャラクターが生き生きと。
なぜ彼は一日一回嘘を吐くのか。初めは矛盾しているようにも思えて、逆にその違和感に引き込まれてしまいました。相思相愛という状況において、なぜ敢えて嫌われるような行動を彼がするのか、と。
徐々に解き明かされるカラクリに、思わず感嘆の声を上げてしまいました。
本当に好きだったのですね。愛という言葉で締めくくるのは、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!彼が嘘をつき続ける理由とは?
小学生の頃、友達の夏彦から苦手なタイプを聞かれた秋葉が答えたのは、嘘をつく人。
するとそれを聞いた夏彦が言った意外な言葉。
「それなら明日から、一日一回、秋葉に嘘をつく」
夏彦は決して、秋葉に嫌われたいわけではありません。むしろ大好きと言ってもいいくらい。
では何故わざわざこんな事をするのか。それがこの物語の肝となってきます。
そして時が過ぎて、高校生になった二人。あの日以来、嘘をつき続けている夏彦と、そんな夏彦に淡い想いを抱く秋葉。だけとも二人の距離は、だんだんと開いていきます。
なぜ毎日嘘をつくのかと言う謎も見所ですけど、もうひとつ、キャラクターの心理描写も、この作品の大きな魅力。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!数年かけた嘘の真実、君は彼女の為にここまでできますか?
「嘘」とは、一体どういう意味があると思いますか?
ついていい嘘、ついてはいけない嘘。
種類も様々で、物語には決して必要不可欠なものでもあると私は思います。
主人公である男の子、夏彦。
もう一人の主人公の女の子、秋葉。
夏彦は、ある日こんな約束をする。
一日一回、秋葉に対して「嘘」をつくという決まりごと。
秋葉は嘘は嫌いだが、当然何故夏彦が「嘘」をつくのか疑問だったが、その決まりが何年か続くのですが、その嘘はとても、とても……な嘘だったのです。
真実を見たとき、あなたは「もし、自分ならどうするだろう?」と、考えることになるかもしれません。
優しくて、想いが溢れて、秋葉に対する夏彦の…続きを読む