概要
ただほんの少し周囲と噛み合わず、ほんの少しずれて、周囲から疎外された。
世界から逃げ出したいと願った時、その『門』は開かれる。
彼はまだ知らなかった。逃げた先に、必ずしも幸福があるとは限らない、と言うことを。
これは一人の平凡な少年が逃げた先で獣と成り、罪を犯し、贖罪を求め偽善を成す物語である。
剣と魔術の世界ロディニアで、魔王たちの遊興『転生ガチャ』によって最下級の獣(オーク)に生まれ変わった彼が何を成すのか、成せるのか。英雄たるか、悪に堕ちるか。
いずれその牙、王に届くか否か、今は誰にも分らない。
ただ、彼は偽善を成す。誰かのためにではない。他ならぬ自分を癒すために、罪から目を背けるために、男は狂ったように善を成す。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!登場人物全員が「生きている」と感じる
「カルマの塔」に引き続き群像劇が丁寧というか、人一人一人の歴史、重みがこんなに隅々まで感じられる、まさしく一人ひとり、登場人物全員の「生」を感じられる頭のおかしい物語です。(褒めてるつもりです)
なんというか…生きてる、皆が皆、その日その時を彼らなりに精一杯全力でもがき足掻き、そしてそれらが複雑で美しい紋様を描く…束ね方も何もかも芸術的というか、…数式か?ってレベルのハマり方して気持ちいいんだけど悍ましいです ハマり方が綺麗すぎると悍ましいですよね
カルマの塔で少し触れた世界の話にこの話でさらに深堀されますし、なんならどんどん謎が噴出するしあちこちに語られない物語が散らばっていてけやき先生…続きを読む - ★★★ Excellent!!!長い長い歴史の、ひとつひとつの積み重ね
「カルマの塔」に次ぐ、富士田けやき先生が織りなす珠玉の群像劇・戦記。
気が遠くなるほど長い時間を描く中で、様々な思想を持つ多くの登場人物、その一人ひとりの想いがじっくりと絡み合って大きなうねりを生み出し、あっという間に読者をその世界観に引き込んでくれる名作。
なんでもないようなキャラクターの雄叫びが我々の胸を打ち、ふと見逃してしまう一文が大きな伏線として我々の脳髄を穿つ。
一度読んだだけでは到底足りない。二度読んで気づくこと多々あり、三度読んでもまだ感動できる。
今からでも遅くない。次の物語に向けて、この世界に全人類のめり込め!!! - ★★★ Excellent!!!彼は勇者ではない、英雄でもない、しかし泥くさい一人の偽善者の物語だ。
面白い。主人公の境遇としては装甲悪鬼に近いものがある。がオリジナリティも付加されてる。今のところ戦闘方法は某弓兵に近い。足りないスペックを戦闘経験と武装で補い、心で底上げする。いいね、こういう作品を待ってた。作者さんは前作といいシリアスな小説を作るのが上手い。ちゃんと味方もやられるのもいい。緊張感があるからね。良いキャラだから惜しくはあるけど
残念な点、というか改善点は二つ。一つは誰が会話してるか分からない部分がままある。特に十位が協力して戦闘してるときとか。他にもちょくちょくあるけどね。二つ目は、展開が早すぎる。物語としての展開はいい。でもキャラが短期間に多く登場しすぎて誰が誰か把握しづ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶望を前にして人は輝く、この物語は人間賛歌である。
戦闘が熱いというか、なんというかキャラが熱いのかなんと言ったらいいかわからないけど、とにかく熱い!そしてカッコイイ!
世界観も主人公もめちゃくちゃハードで軽く読もうとしてるとしんどいかもしれない。だけどそれでも読み進めるとすごく面白くなってくる。
世界がだんだん広がっていくのも感じるし、キャラの深みとかはほんとにすごい。
敵にも味方にも魅力があるから、読んでいてイライラしないし、素直にカッコイイなあと思える。
注意点としては良くも悪くも登場人物が直ぐに死んでしまうところがあること。
死を書くのが上手いから、死が作品をより魅力的にしてるんだけれども、やっぱり感情が揺さぶられる…続きを読む - ★★★ Excellent!!!富士田けやきの新作、それだけで魅力的
圧倒的なストーリー展開と心情描写でカルマの塔の連載を続ける富士田けやきの新作アストライアー。
アストライアーとは星乙女、輝く者の語義を持つそうで、登場人物の一挙一投足すべてに伏線を張り巡らす作者は、果たしてどんな願いを込めて名付けたのだろうか?
他にも、偽善で世界を変えようとする主人公は今作にどの様な影響を及ぼすのか、カルマの塔と世界観はつながっているのかなど、興味深い点は枚挙に暇がない。
しかし、作者の描く世界観は必ず僕たちの胸を締め付けてくれるに違いない。その時まで僕たちはただ小説の更新を待ち続けるしかないのだ。
あけましておめでとうございます。お身体に気を付けて連載頑張ってくださ…続きを読む