彼は、凡人だ。
大した才能も無ければ、圧倒的な力を持つわけでもない。
ただ、『彼女』の横に立っていただけ。ただ、それだけの存在だった。
『一度目までは。』
彼は、確かに凡人だった。溢れるような才能を持つ『彼女』には到底敵わないような存在だった。
しかし、その足りない才能を補える程の『狂気』を持っていた。
ありえない『狂気』は、時に『天才』をも超える。
一度目の『破滅』を繰り返さないために。
『絶望』の結末を変えるために。
……ただ、大切な人を守るために。
彼は行く。二度目の破滅を打ち砕くために。