彼は勇者ではない、英雄でもない、しかし泥くさい一人の偽善者の物語だ。

面白い。主人公の境遇としては装甲悪鬼に近いものがある。がオリジナリティも付加されてる。今のところ戦闘方法は某弓兵に近い。足りないスペックを戦闘経験と武装で補い、心で底上げする。いいね、こういう作品を待ってた。作者さんは前作といいシリアスな小説を作るのが上手い。ちゃんと味方もやられるのもいい。緊張感があるからね。良いキャラだから惜しくはあるけど

残念な点、というか改善点は二つ。一つは誰が会話してるか分からない部分がままある。特に十位が協力して戦闘してるときとか。他にもちょくちょくあるけどね。二つ目は、展開が早すぎる。物語としての展開はいい。でもキャラが短期間に多く登場しすぎて誰が誰か把握しづらい。専門用語も唐突にでてくるからそれなんだっけ?ってなることも多い。そしてキャラの掘り下げが少ない。特に主人公が守った子供達との関わりが殆どないから舞台装置になってしまっている。子供達がどう感じてるのかアストレアがどう思っているか。そこら辺の人間味?が足りないかなと。あと主人公が敵側だったことに対する不信感があるって話があったけどまだ出てないだけかもしれんけどこれも設定だけになってる気がする。

気になる所はあるが正にこれこそが正義の味方の物語と言えると思う。正義とかいう言葉は嫌いだがこうしか言いようがない。彼は勇者ではない、英雄ではない、しかし一人の人間の物語といえる。力はない、能力もない、プラスの気持ちもない。だが逃げても折れない、諦めない。泥くさい魅力のある主人公だ。

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