第11話 秋の気配を感じる時には…

私があの喫茶店で澤村 あやめに出逢ったのは奇跡だったのか?それとも、偶然だったのか?必然だったのか?それとも、天使のいたずらだったのか?悪魔のささやきだったのか?今になっても不思議な感覚があり、理解に悩むのであった。

しかし、あの時を思い出すととめどとなく涙が溢れ、心が温かくなり、前進する事が出来るのであった。



 安藤 優也(54)は都内で有名な大学を卒業する時に、進路で悩んでいた。

2浪して、大学を卒業する時には景気は最高超でバブル景気となっていた。

当時はバブル景気と重なり、就職は企業の方から学生に船を貸しきってクルージングをしますや、ホテルの宴会場を貸し切ってパーティーをしますなど今では考えられないが学生を接待してでも就職してもらいたい時代であった。

企業の中には、就職する前提の学生には海外旅行をプレゼントしたり、マンションを購入するような企業もあった。

学生が就職する前提で大学に入学すると同時に実家の家を新しくした学生もいたらしいなどの噂も耳にするようになっていた。

しかし、内面を重視するような世の中ではない為に入社すると会社の金を横領して悪びれる事もなくギャンブルをしたり、好きな女性や三高(高学歴、高収入、高身長)に貢ぐ女性も多くいた。

その頃「101回目のプロポーズ」というドラマや「私をスキーに連れてって」という映画などがはやり、101回目のプロポーズの名シーンである『僕は死にません。絶対死にません。』の名セリフを叫んで現実にトラックの前に出てトラックに轢かれるアホな男やゲレンデに連れて行った後に別の女性と帰り、連れてきた女性を放置するような事件も多発した。

マスメディアに動かされる単純な思考だったと今、冷静に感じるのであった。

とはいえ、当時の私も似たような事をして、楽しんでいたのかも知れないが…昔の映像を見て思い出す程度だった。

私も、企業の説明会に行けばそれなりに内定をもらう事が出来、すでに20社程から内定をもらっていた。

しかし、私はそれをすべてに断りの連絡を入れた。

というのも景気が豊かになり過ぎて本当に必要とされていると人材として感じる事が出来ず不信感が募ってしまったのが原因で地元の市役所に勤める事にした。

当時、付き合っていた花村 ゆかり(20)は市役所で働く事によって、本命からアッシーくんに降格すると言い出した。

ゆかりは就職は『銀行か証券にしてって!』言ったのに…残念っと、怒りをあらわにするようになってしまった。

今では安定志向の為に公務員は結婚相手には最高とも言われているが、当時は公務員になっても、基本給が15万円程と安く年収も400万程だった。

その時に言われたのが、年収が400万ではねぇ…安定しているけど無理だなぁ…と言われた事を思い出す。

当時は連絡手段がポケベルでスマートフォンや携帯などはなく、公衆電話からポケベルに連絡するのが普通であった。

本命からアッシーに降格してから、ポケベルでの伝言は「889 045」「はやく、よこはま」や「889 23」「はやく 23時」と言う伝言に変わった。

それまでは「14106」「愛してる」などだったが…

そんな伝言だけだと自然と連絡をしなくなると急に電話が入るのだった。

「ごめんねぇ…今、キープくんとメッシーくんとご飯食べていてねぇ…悪いんだけど渋谷に来てもらいたいなぁ…」とタクシーがわりに呼ばれるのだった。

当時はタクシーを停めるにも一万円札を数枚ちらつかせなければ停まらないのが常識となっており、接待では帰りのタクシー券がないと接待にはならない状況であった。もちろん、キャバクラではシャンパンやドンペリを出すのが当たり前の世の中であった。

当時はお金が有り余っていた為に、ちょっとした買い物を頼む時でさえ、一万円を出すのが普通で、1000札を出したり、500円札を出すと駄々をこねる人もいた。

そのような状況では父親が日産のシーマに乗っているだけでちやほやされてはいたが…車が本命なのはある程度、理解出来た。

その後、ゆかりはジュリアナ東京にはまり、ボディコンを着て、扇子を持って色々な男と遊ぶようになってしまった。

そして、メッシーくんが本気になり、東京湾にダイブしてゆかりとともに亡くなってしまった。

留守番電話の伝言には「ごめんねぇ…私が馬鹿だった…助けて…殺される!」とメッセージが残っていた。

あのバブル景気は思っていた以上に早く終焉を迎え、不動産、銀行などに就職した友人たちはリストラにあい、再就職も難しくなり、未だにバイト暮らしをしている友人もいる。その一方で不動産投資をしていた友人は羽振りが良くなって100万の土地を転売を繰り返し1億円までになったがバブルの崩壊とともに、資産価値が1/10になると9000万の借金を背負いホームレスになったとの事。

私も一歩間違えたら、その道に進んだと思うとホッとする反面、ゆかりは本当は私の事をどう思っていたのかが気になるのだった。

あれから…30年かぁ…早いなぁ…


一方、私の方は地道な公務員となったおかげでバブルの崩壊に翻弄される事もなく安定したレールを歩んでいた。

久しぶりに車通勤を止めて、たまにはバスと電車で通勤するかなぁ?

最近、コレステロール値も気になり出したし、お腹も出てきて、最近は女房にも「少し、運動でもして長生きして…」と言われてるしなぁ…

よし、明日から9月だから、少し歩くかなぁ…


「あれ、今日はかなり早く出勤ですか?朝食も食べないで…」

「今日から市役所までバスと電車で行こうと思ってなぁ…じゃ、行って来るなぁ…」

「はい、行ってらっしゃい。でも、通勤手当てもらっているでしょ?」

「あぁ…それなぁ、今月から1ヶ月だけ通勤手当を出してもらえるから大丈夫だよぉ。公務員だと小さい事もしっかりしておかなければ厳しくなったからなぁ…昔の時とは違うから大変だよぉ。」

「そうねぇ…昔はどんぶり勘定で手当てなんて色々ありましたからねぇ?まぁ、それだけ財政が厳しくなったからですねぇ。では、行ってらっしゃい。」



いやぁ、久しぶりに歩くとこたえるなぁ…残暑も厳しくてこたえるなぁ…今日は早めに出勤しているからたまには喫茶店でも行って朝食でも食べるかなぁ…

それにしても、駅前に喫茶店何かあったかなぁ…?

あれぇ、こんなところに喫茶店があるなぁ…

「花言葉喫茶?」

まぁ、いいかぁ、入って見るかぁ…

「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ?」

「はい。ところで、従業員の人はいないんですか?店番かなぁ?お母さんとか?はいないのかなぁ?」

「はい?私がこの喫茶店の店長ですが…」

「はぁ?冗談でしょ?どっからみても中学生か?小学生の高学年でしょ?夏休みも終わったのに…学校は?」

「だから、私がこの店の店長でこう見えても、20歳を越えて30歳に近いですけど…」

「本当に?こんなに可愛いくて幼いのに…」

「ありがとうございます。皆さん驚きますが…この喫茶店の店長ですよぉ。」

「そうなんだぁ…なるほど。」


「ちょっと聞いて、お客さんから可愛いって誉められたのぉ!お兄ちゃん、喜んで!」

「そっか、流石はお兄ちゃんの妹だぁ!あやめは世界一だなぁ!」

「でしょ!すごいでしょ。えっへん。」

「そうだなぁ!すごいなぁ!ところで、来週の件は大丈夫かぁ?」

すいません、すいません店長、可愛い店長?

「あぁ…ごめんねぇ、お客さんが呼んでいるから、電話切るねぇ?又、お兄ちゃん電話するねぇ。」

「解った。じゃ、後日電話してなぁ?」

「うん、解った。電話するねぇ…」


「はい、お待たせ致しました。」

「店長、ここはおしぼりとかお水はでないのかなぁ?」

「あぁ…すいません…お客さんが可愛いとほめてくれたので、お兄ちゃんに電話してました。」

「そうなんだぁ…まぁ、これだけ可愛い妹さんだとお兄ちゃんが羨ましいなぁ。仲が良いのは良い事だなぁ…」

「ありがとうございます。では、今、お持ち致します。」

「はい、大変お待たせ致しました。おしぼりとお水です。」

「あぁ…ありがとう。ところでメニューはないかなぁ?」

「はい、ただいまお持ち致します。」

「今日は9月1日です。

今日の誕生花と花言葉ですがまずは「スパティフィラム」です。〜「上品な淑女」「清らかな心」という花言葉があります。

花言葉の由来〜花言葉の「上品な淑女」「清らかなな心」は清楚な雰囲気を漂わせるスパティフィラムの白い花姿にちなむともいわれます。」

「なるほどなぁ…花にも花言葉があるんだなぁ。」

「次に、キキョウです。〜「永遠の愛」「誠実」「清楚」「従順」という花言葉があります。

花言葉の由来〜花言葉の「永遠の愛」や「誠実」はキキョウが恋人のために一生涯、ただ待ち続けた若い娘であったという物語(Balloon flower was a young girl who spent her lifetime waiting for her love and without any results)に由来するともいわれます。」

「なるほどなぁ…キキョウには切ない物語があったんですねぇ?」

「そうですねぇ…花言葉には色々な人の想いを花に託したのかも知れません。」

「ところで、食べ物や飲み物のメニューはありませんか?」

「はぁ?ここでは、トーストとサラダ、ハムと玉子とコーヒーだけです。ハムはベーコン、玉子はゆで玉子かスクランブルエッグに変更出来ますが…」

「あぁ…なるほど、ならメニューがないわけだねぇ?それじゃ、ベーコンとスクランブルエッグでお願い致します。」

「はい、かしこまりました。ところで、花言葉の花は選びましたか?」

「はぁ?花言葉の意味する事は何ですか?」

「あれぇ、お伝えしてませんでしたか?花言葉が意味する言葉を元に今後の人生で出逢っておかないといけない人、あなたに逢いたくて仕方がない人などさまざまなかたちで別れなければならない人に出逢う事が出来ます。ただ、亡くなった人に限りますけど…」

「はぁ?冗談でしょ!このご時世で亡くなった人に出逢えるのは神様が奇跡を起こすか?夢の中ぐらいでしょ?それに、幽霊がここに現れるのですか?あり得ないでしょ?」

「そうですねぇ…このご時世では奇跡が起こらないとあり得ないですねぇ?しかし、ここは異世界です。」

「はぁ…どう見ても、何処にでもある喫茶店でしょ?異世界って…冗談が過ぎますよぉ…」

「まぁ、信じられないと思いますが、この窓を見ていて下さい。」

「はい、はい、何処にでも、ある街の風景ですねぇ。えぇ…何で、何で、アメリカの自由の女神が見えるんだぁ…それも、船から見る風景だよなぁ…」

「窓を開けてもいいですよぉ?手を入れてなめてみて下さい。」

「しょっぱい。あきらかに海の匂いもするなぁ…」

「はい、閉めて下さい。はい、次はこちらの窓を見て下さい。」

「えぇ…何でだぁ…どうなっているんだぁ…ここは、スカイツリーの頂上だよなぁ…あり得ない…あり得ないなぁ…」

「そうかなぁ…私が行きたいところなら、念じれば行けますけど…」

「はぁ…なるほど、そんな能力があるんだぁ…能力というか…ここでは普通かなぁ?でも、窓を開けて出ないで下さいねぇ…戻れなくなります。ニューヨークの自由の女神が見れる海の上か?スカイツリーの頂上?のどちらかになります。まぁ、運しだいかなぁ?まぁ、間違いなく死にますけど…」

「そうなんだぁ…外は異世界であるんだなぁ…なるほど。でも、ここはそんな事ないでしょう?」

「あれぇ、まだ気付いてないですか?鏡を見て下さい。」

「えぇ…えぇ!どうなっているんだぁ、この姿は大学生の頃だなぁ…痩せているし、髪の毛もフサフサしてるなぁ…」

「そうですよぉ…ここでは、年を老う

事も若返る事も出来ますよぉ…まぁ、たいていは花言葉が意味する出逢いによってになりますが…」

「という事は当時、亡くなった人に逢えるのですか?」

「さぁ?私には解りませんよぉ…ところで、花は決まりましたか?」

「はい、きぃ、キキョウでお願い致します。」

「はい、かしこまりました。素敵な時間をお過ごし下さい。」


カラン、コロン…

「もしかしたら、安藤 優也さん?」

「はぁ?誰だぁ…解らないなぁ…私、私よぉ。ゆかり、花村 ゆかりよぉ…」

「えぇ!嘘だろ…あり得ないよぉ…おまえは32年前に東京湾でアッシーくん事、高橋 拓也と亡くなったよなぁ?何でだよぉ!おまえは俺のプロポーズも拒否して他の男と付き合っていただろう!何で思い出のままにしてくれないんだよぉ!それに、「最後にごめんねぇ…私が馬鹿だった…助けて…殺される!」って伝言が入っていて、助けて上げる事が出来なくて、今でもふっと、思い出してはうなされているんだぁ…!そんな気持ちなんか解らないだろう!」

「だから、とにかく、どうしても謝りたくてきたのぉ。もう、昔と変わらないなぁ…泣かないでよぉ…一途だったねぇ…ありがとう。私も殺されてから、やっと気が付いたけど…遅かったなぁ…男の価値はお金だと勘違いしていた天罰だねぇ?でも、初めて付き合ったのが優也さんで良かったなぁ…2年間で色々なところに行ったねぇ…楽しかったなぁ…ごめんねぇ…私が馬鹿だったねぇ…何度も、「今のゆかりはおかしいぞぉ、しっかりしろ!」って言ってくれたのに聞く耳を持たなかったなぁ…」

「ゆかりをしっかりと抱きしめてやれば良かったよぉ…もっと、手をつないでいれば良かったなぁ…ごめんなぁ。少しでも、勇気を持って自信を持っていればゆかりを他の男に取られなかったよぉ…」

「そんな事はないわぁ…全部、私が悪いのぉ!アッシーくんやメッシーくん、キープくん、ミツグくんなどと男性の価値を物やお金ではかった私がいけないのぉ!本当にごめんなさい、ごめんなさい。私の為に尽くしてくれてありがとうございました。すごく逢いたかったよぉ…逢って抱きしめて欲しかった…」

「馬鹿だなぁ…泣くなよぉ…今でも、ゆかりを忘れてはいないぞぉ。俺にとっては、最高の女だった。おまえが亡くなっても、今も「優也、遊びに行こうって」まぶしい笑顔で言う姿を思い出すと涙が止まらなくなっちまうよぉ…」

「知っているよぉ…毎年、9月になると亡くなった東京湾に来て、水死体が見つかった場所に花をたむけて最低、2時間は座って涙を流しながら「ゆかり、元気かぁ?冷たかったなぁ?寒かったよなぁ?苦しかったなぁ?俺が悪かった!って号泣していたねぇ?そんな姿を見たら申し訳なくてねぇ…私もちゃんと、自分を見れていたら、「永遠の愛」を貫いていたなぁ…って…本当に馬鹿だったなぁ…」

「見られていたんだぁ…そりゃ、そうよぉ…首を絞められて水死体じゃ…悔しく地縛霊になるって…でも、優也さんのおかげで愛されていた事を知って成仏出来そう…ありがとうねぇ?チュ〜。」

「おい、久しぶりぶりだなぁ…キスされたのぉ…」

「ちょっと待て、こうするんだぁ。大人のキスはなぁ…」

「もう、あの頃にされたら離れなかったなぁ…」

「泣くなって…よしよし、ゆかりは可愛いなぁ…ほらぁ、温めたぞぉ…もう、抱きしめたら成仏出来ないじゃん。馬鹿ぁ!」

「おい!久しぶりなんだから、もう少し抱きしめさせてくれよぉ。逢いたかったよぉ…ありがとうなぁ…」

「もう、優也さんたら、涙を拭いて笑ってよぉ…」

「あぁ…そうだなぁ…泣いてちゃ、ダメだよなぁ。久しぶりの再開も台無しだなぁ…ワッハッハハ…ハァハァ〜…だめだぁ、無理だぁ!チクショウ!涙が止まらないよぉ…何で、何で、あいつがあいつがぁ…ゆかりとぉ…あり得ない、あり得ないよぉ…!」

「私が悪いのぉ!拓也は悪くないのぉ!私が、拓也にご飯をご馳走になり続けていたけど…流石に無理をしていたみたい。私の為にサラ金会社、数社に借金をして、火の車になってしまって、私もそれを知ってもご馳走して欲しいとねだったけど…わがままになり過ぎていたから感謝も出来なくなったのぉ!それに、拓也もアクセサリーの一つぐらいにしか考えていなくてねぇ…お互いに会えば殴りあいの喧嘩になっていたなぁ…それが、行き過ぎて首を絞められて優也に電話したのぉ。あの時に拓也が泣いて謝ったけどすぐに喧嘩して、今後は本気で首を絞められました。馬鹿だったなぁ…あの時に逢わなければ良かったなぁ…」

「そうなんだぁ…拓也もゆかりに本気になったんだなぁ…でも、あいつは女にも暴力すると伝えていたのになぁ…」

「そうだったなぁ…でも、ご飯食べるから来いって言われて行ってしまったなぁ…私も寂しかったのかもなぁ…」

「そうだったんだなぁ…悪かったなぁ…」

そろそろ、料理が冷めますので…どうぞ?

「ゆかり食べよう。美味しいなぁ…」

「本当に美味しいなぁ…こんなに美味しかったんだぁ…私って、私って…こんなに美味しい食べ物を粗末にしていたなぁ…本当に馬鹿だったなぁ…」

「おい、ゆかり、泣くなって、最後ぐらいは笑って食べようなぁ…」

「そうだねぇ…優也の言うとおりだねぇ?」

「ほらぁ、口元にケチャップついているぞぉ?可愛いなぁ…」

「もう、恥ずかしいなぁ…」

「恥ずかしい顔も赤くて可愛いぞぉ。」

「もう、優也のバカ…」

「大丈夫だぁ…馬鹿だと気付いているからおまえの優也は頭が良いんだぞぉ…ポンポン」

「もう、優也ったら。もう、そろそろ、時間だから行くねぇ…優也、ありがとうねぇ…」

「ゆかり、ゆかり、待てよぉ…最後に忘れ物だぁ…ギュ!ゆかり、忘れるなよぉ…来世では、おまえを大事にする。離さないからなぁ!チュ。秋の気配を感じる時にはゆかりを思い出すなぁ…」

「ありがとう、優也。忘れないねぇ…優也も私がいない間、奥さんと仲良くするのよぉ…来世は奥さんと相談するねぇ…許してくれるなら一緒になろうねぇ!ありがとうねぇ。」


「ありがとうございました。あの時の事を思い出すとうなされていました。これで、ゆかりとの絆も戻り、温かく見送る事が出来ました。本当にありがとうございました。」


「いえいえ、とても、素敵な出逢いが出来て良かったですねぇ?私の方こそ、ありがとうございました。温かな気持ちになりました。ありがとうございました。出口はこちらです。」


「なるほどなぁ…バブル景気は大切な心を汚してしまったんだなぁ…泡のようにあっという間には消えずに心に傷を残したんだなぁ…やっぱり、お金はおっかねぇ!ってなぁ。あれぇ、そう言えば、何か忘れているようなぁ…何だっけなぁ… あぁ…しまった!お客さん、お会計!お会計!!」


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