第22話 お狐様商品の搬入を手伝います! (3)
う~ん、実は、傍から見ている皆さんも知っての通りで、僕の妻である小夜は妖狐でね。西日本に昔から生息する、おさん狐と呼ばれる妖狐の末裔で数少ない生き残りみたいなのだよ。
だから僕が小夜を救助した場所を思い出してもらってもわかる通りで。小夜は人里離れた中国山地の山の奥で、自身の身を潜めながら他の妖怪達と暮らしていたみたい。
う~ん、でもさ、これも皆が知っての通りで、たまたまその日に限り、僕の小夜は、夕刻に転寝をして寝坊……。目が覚めたら陽が沈んでいたので、慌てふためきながら農協の購買部へと夕飯の材料を買い出しに行く最中に、貨物トラックとの接触事故を起こして気を失い。
夫である僕と運命的な出会いをして結ばれたわけなのだよ。
だから我が家の奥さまは、大勢の人が暮らす街での生活に慣れていないのだ。
どちらかといえば、半妖の妖狐でもある小夜なのだが、幼少期のトラウマもあり、人間の異性が恐ろしいと昨晩僕に告げてきたのだよ。
だから昨晩から朝まで小夜は、大型犬のような大きさのお狐さまの容姿でいたからね。
でッ、また妖狐の姿で、自分は生娘なのに、僕に悪戯行為……。
まあ、僕自身は小夜に悪戯な行為や邪なことをした記憶はないのだが。我が家の奥さまは、僕に恥ずかしい姿や個所を凝視されたから、「もう婿殿、妾はお嫁にいくことすらできないから、責任をとってください。お願いします……」と、泣きながら告げてきたので。
僕も男らしく。
「わかったよ! 今日から僕は、君の夫だ! いくら君が妖狐の姿であったとしても。僕が一生君を愛して、守り。家族を養っていくから心配をしないで大丈夫だから」と。
僕自身の決意を小夜に伝えて、二人は結ばれたのだよ。
でッ、いざ朝起きてみたら、僕の横で寝ている筈の妖狐の姿の小夜がいないから大騒ぎ……。
そして僕が騒いでいたら、キッチンで朝の食事の準備をしている人の姿の小夜がいたから。僕がまた大騒ぎをしたのが今朝の出来事なのだ。
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