第16話 ある日の朝です! (1)

〈チュン、チュン〉


「うぅ~ん」


(クン! クンクンクン)


 ん? な、何? このいい匂いは……。


 と、僕は思うと、『バサッ!』と、自身に掛けてあった布団をまくり上げて辺り……。


 というか? 僕の横いた筈の暖かいモフモフ感がない。


 一体何処? 僕の真横に寝ている筈の大きなモフモフした妖狐の彼女がいないのだよ。


 だから僕は困惑……。慌てふためきながら。僕の彼女……。じゃないね。昨晩、僕に責任をとって嫁にして欲しいと告げてきたから。僕の奥さまである妖狐の彼女……。小夜を探したのだ。


「さ、小夜~。ど、何処~? 何処にいるの~?」と。


 僕は気落ちした声色で、慌てふためきながら探索をしたのだよ。


「ん? 妾ならここにいるわよ~。婿殿~」


「えっ? 誰……?」


 僕は女性の声を聞き、思わず声を漏らした。


 だって一LDKしかない僕の部屋──。


 それも一畳ぐらいしかない玄関と共用のキッチンスペースから、女性の声が聞こえてきたのだ。


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