第2話 ある日の夜です! (2)

 だから早く片付けた荷物を車に詰め込んで、車のエンジンを掛け──。車内に装備しているヒーターで、僕は自身の身体を暖めたい。身体の芯からね。


 まあ、とにかく、冬の夜空の中で一人寂しく寒さに耐え忍びながら、明るい時間におこなっていた。農協の購買部の外の店先でさせて頂いていた販売の仕事を終え、出店の片づけを独り寂しくおこなっている僕だから、先程からこんな感じで不満を募らせて、愚痴ばかりを漏らす。


 まあ、せめて、親しい女性……。彼女か奥さんでもいれば、二人で話しをしながら楽しく仲良く片づけの方をできるのだと思うが。


 まあ、傍から僕の様子を見て確認をすればわかる通りで。独り愚痴を漏らしながら片づけをおこなっている僕だから、そんな気の利いた優しい女性などいない。


 だから僕は不満だけ募る。


「珍味屋さん、お疲れ~」


「おにいちゃん、お疲れさま~」


「気をつけてかえりなさいよ~ 。お兄さん~。事故しないように~」


 彼女や奥さんなどいない僕が、不満を募らせ、漏らしながら、出店していた自身のお店の片づけをしていると女性の声──。


 それも労いの言葉が多々飛んでくる。


 だから僕は女性の声がする方へと視線を送る。


 すると農協の購買部と金融部のおばさま達……ではないね。


 淑女のお姉さま達が僕に帰宅途中に事故などしないようにと大変に心優しい労いの言葉をくれた。


 でッ、これがまた、最初不満のある物言いでおばさんと言葉を漏らした僕なのだが。実は大変に嬉しいのだよ。いくら淑女のお姉さま達の声だとしても。


 やはり男という生き物は、異性である女性の黄色い声の声援を聞くと、本当にやる気が湧いてくるよ。心の底から、小中高の運動会や体育祭の時のように。


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