恋をしたこと

中学2年生の冬、私はある男の子に恋をしていた。



その男の子は勉強が出来ないものの、とても素直で優しかった。

なぜその子が好きなのかと言われれば、すぐには言えなかったけど、何か惹かれる魅力があったんだ。

いつの日か、その子ばかり見ていた...。



私の友達からも、告白してみたら?と

アドバイスを貰いながらも、そこで立ち止まっていた。


直接言うよりは、なにかを隔てて想いを伝えたいと思った。



ちょうどバレンタインデーが近づいてきたから、チョコを作ってみた。

お菓子を作るのは初めてだったけど、その子においしく食べて欲しいから心を込めてしっかりと作った。




翌日にチョコをこそっと机に入れたんだ。




すると彼は私がチョコを置いたことを知って呼び出してくれた。




彼はこう言った。



「チョコを返す時には、もうここにいないんだ。」






彼は転校することになっていたんだ。

ここから遠い、どこかへー。




ものすごく、悲しかった。


何故、今なのか。

何故、好きになってからなのか。

何故、彼なのか。


もう会えないと分かると落胆した。



しかし、彼は


「今年じゃなくても、必ず返すから!」

「ちょっとまってて!!」


と、言われたから、

急いで私の住所を紙に書いて渡したんだ。


その時に、好きだったことを自分から言えなかった...。











あの日からもう3年の月日が経った。



家の場所は変わらないままだ。


もしかしたら、来るのではないか?

と微かに希望を寄せている。







ふと、窓を開いた。




窓を開くと、半透明で優しい色の海が

太陽と共存していた。

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