突然
松山君が血だらけで倒れていたと聞いた私は、そのことをきちんと理解できず、静かにぽかんとしていた。
その後とりあえず小雪ちゃんの元へ、熱がありながらもとつとつと段々はやくなるよう向かった。
「どうしたの?!熱出ているのに休まないと」
彼女は私を見ると途端に心配の声を掛けてくれた。
その時、確か私はぜふぜふと息をし頭の中の引き出しをこれでもかと引っ張り出すと、小雪ちゃんにそのことを伝えた。
彼女がそのことを聞くと、私へ静かに話しを返す。いきなり彼女の顔が白くなって震え始めたのを覚えている。
「......え?全く意味がわからないけど」
そして、空白の時間がまた流れ出す。
それ以前に、彼女も松山くんが居ないことに疑問を抱いていたとか。
その後に看護師さんへ聞きに行こうと、一斉に私達は同じ方向へ進んだ。
とんとんとんとん
しかし、ナースステーションを見てもそこはすっからかんで、忙しいのが目に見えるぐらいに。
いつもいる所に、人がいないというのはこんなにも不安になることだったんだと、目の前も暗闇に変化した。
誰もいないから、今どういう状況なのか理解できない。
夜も深くなっていき、風がびゅるびゅるとドアを揺らすとき。
小雪ちゃんと不安で仕方なく待っている。するとガラガラと廊下から音がした。
なにか重いものを運んでいるような......。静かな部屋にずっと響いた。
音がするとすぐに近づいてしまう癖がある上に状況が状況だから、私はすぐさま廊下に出た。
その音の正体は移動式ベットの音だと分かった。
ベットの中には、なんと蒼白い松山君の静かそうに眠っている姿が、確かにあったんだ。
そしてそれは無慈悲に、止まることなく、私の前をすっと通り過ぎて行った。
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