最後の晩餐のような
私、
そしてその後は気味が悪くて、私はこの場から逃げ出したんだ。扉を開いて自分の病室へ戻ろうとすると廊下には前が見えない程の黒煙がもやもやたっていた。
そしてその霧をスパッと切って走っていくと、壁が見えた。だが安心できたのもつかの間、次の一歩を踏み出した途端、足を滑らせて奈落の底へさようなら......。
そこからの記憶は曖昧でただ覚えているのは、松山君は死んでなどいなかったこと。
どうせ、悪夢でも見たのだろう。納得できる。だって病院ってのは............という固定概念があるから。
彼のいない病室で泣いている私は
「よ!深澤! 今日は来るの遅かったな。 絶対寝坊してたよね。」
いつも通りの高い声で、私に話しかけてくれる。いつもは当たり前のことなのだが、今日だけは恐怖を感じた。
「う、うん...。ははは。」
震えた声しか出すことのできなかった私をなんとも思わず、2人はさっそく話を始めた。
私も、静かにその話へ乗る。どうやら、「恋」の話をしているらしい。
小雪ちゃんが興味ありそうに松山君へ聞いた。
「松山君って好きな人いるの?」
するととっさに
「そ、それは......!あとでちょっと来て......。」
さっきの彼の笑顔が嘘みたいに、顔が真っ赤になる。すこし人間味がでて私は嬉しかった。
そのあとも話は続いたり、外へ出て散歩したりしているちに、もう日が沈みかける。
三人とも解散して、病室へ戻る。
松山君が、病室を変えてからこの部屋はとても静かだ......。鳥の鳴き声が綺麗に聞こえてくるくらい。
風の音も聞こえるのではないのだろうか......。ここの窓を私は何回も開けた。
心が清まりそうなここから見える景色。いつも輝く自然の音が耳を通り抜けていきそう。
そうやって私は、前から読み続けていた、ある小説を開いた。
今日裏でおこったこと、そして次の日、終わりのない絶望へ落ちることも知らずに............。
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