彼女を奪われたダメウィザードの成長記録

STキャナル

プロローグ:すみません、これが僕のウィザードとしての実力です

「レディ、ファイト!」

 大きな鐘が鳴るなり、相手はリミッターが外れたかのように、一気に突進し、大きな杖を振るってきた。


「スプラッシュ・サイクロン!」


 奴の杖の先から放たれた水の怪物に、僕はあったいう間に捕まった。本当に竜巻に巻き込まれ、地面から引きちぎられた草のように僕の体は激しく振り回された。溺れそうだと思う恐怖を超えた感覚が、僕の全身を支配する。


 気が付けば体が急激に下向きに変わった重力に操られる。大地に激しく叩きつけられる衝撃がするや否や、僕の目の前は真っ暗になり、何も聞こえなくなった。

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