後日譚
第21話
あの戦いから数日後。
カク◯ムちゃんはプライベートビーチに遊びに来ていました。
緑色のビキニを着た彼女は、レジャーシートを敷いた上に片膝を立てて座り、ビーチパラソルの下から海を眺めています。
「ひゃっ!?」
頬への冷たい感触に驚いた彼女は、そーっと近づいて冷えたジュースの瓶を押し当ててきた人物を見ます。
「な◯うちゃん……」
そこには白いビキニの水着を着た、な◯うちゃんがいました。
水着の布面積は広いはずなのですが彼女が着ると、むちむちのぱっつんぱっつんです。
「どうしたの? ぼーっと、して……」
な◯うちゃんはカク◯ムちゃんの隣に座ります。
『もしかしてマグ◯ット!ちゃんの事を考えていたの?』
な◯うちゃんは、そう尋ねようとしましたが、言葉にはなりませんでした。
カク◯ムちゃんは再び海を見つめて呟きます。
「このまま……大事な物を置き忘れたままで突き進んで、いいのかなあ……って思って」
「悩んでいたの?」
な◯うちゃんの問いにカク◯ムちゃんは、こくりと頷きました。
な◯うちゃんもカク◯ムちゃんと同じ海を見て答えます。
「きっと、大丈夫だよ」
◇
カク◯ムちゃんとマグ◯ット!ちゃんの拳同士の語らいも終わり、な◯うちゃんは目覚めました。
傷つき倒れている彼女を心配そうに見ていた顔が目の前にあります。
「大丈夫?」
「エブ◯スタちゃん……」
「良かった。オ◯ナインが効いてきたみたいね? アル◯ァポリスちゃんも無事よ」
「……そうだ! カク◯ムちゃんは!? マグ◯ット!ちゃんは!?」
エブ◯スタちゃんは顎を振って示します。
な◯うちゃんが顔を向けた先に白く輝く次元の裂け目と、その手前に二つの人影がありました。
立っているのはカク◯ムちゃん。
彼女は倒れているマグ◯ットちゃんを見下ろしていました。
マグ◯ットちゃんは上体を起こすと、顔を顰めて左手で右肩を押さえます。
「レールガンを撃った時に肩を痛めていたのね?」
カク◯ムちゃんの問いにマグ◯ットちゃんは答えません。
カク◯ムちゃんは左手を差し伸べます。
躊躇いつつも起き上がる為にマグ◯ットちゃんが、その手を掴もうとした時でした。
彼女達のいた場所まで次元の裂け目が拡がり、近くの瓦礫が吸い込まれ始めました。
「カク◯ムちゃん!」
「な◯うちゃん! まだ動いちゃダメ!」
エブ◯スタちゃんの制止も聞かずに、な◯うちゃんは二人に向かって走りました。
次元の彼方へ吸い込まれようとしていたマグ◯ット!ちゃんの左手をカク◯ムちゃんが掴みます。
彼女の足も地面から離れようとした時に、な◯うちゃんが両足を掴みました。
そして、な◯うちゃんをエブ◯スタちゃんとアル◯ァポリスちゃんが抑えます。
その様子を見たマグ◯ット!ちゃんは、自嘲気味に微笑むと、自身の左手からカク◯ムちゃんの左手へ衝撃波を送り込みました。
「痛っ!?」
カク◯ムちゃんが痛みに耐えかねて手を離すと、マグ◯ット!ちゃんは大きな瓦礫の上に立ち、次元の彼方へ吸い込まれて行きます。
「カク◯ムで公開されている作品は七万点……でも、その殆どが★一桁なのよ!」
マグ◯ット!ちゃんは遠ざかりながら叫びます。
「その孤独が! 絶望が! そして哀しみが! 貴女に癒せるのかどうか、とくと拝見させて貰うわ!!」
マグ◯ット!ちゃんは哄笑しながら光の中へと消えて行きました。
◇
「カク◯ムちゃん、遊ぼ? 今は難しい事を考えずに……」
な◯うちゃんは、カク◯ムちゃんの手を引いて海へと誘います。
誘われるままに立ち上がったカク◯ムちゃんは、な◯うちゃんと共に青い海へと泳ぎに向かうのでした。
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