第6話

「ちょほいと、待ちなあ?」


 ガラスが割れたせいで風が吹き込んで来る窓の枠の上に、一人の少女がバランス良く立っていました。

 カク○ムちゃんは、その新たな来訪者の姿を確認して驚きの声をあげます。


「あ、あなたはエブ○スタちゃん!?」

「とおっ!」


 エブ○スタちゃんは部屋の中へと飛び込むと、空中で膝を抱えながら前転をして、シュタッ! ……と格好良く着地しました。

 白い髪の後ろを空色の紐ゴムで、中くらいと小さな団子に分けて纏めています。

 快活そうな笑顔の眩しい美少女です。


「話は聞かせて貰ったぜ?」


 エブ○スタちゃんはカク○ムちゃんに近づくと、にこやかな笑顔と共に右手を差し出します。


「カク○ムちゃん、第三回のコンテストの結果を拝見させて貰ったわ」

「ありがとう、エブ○スタちゃん」


 カク○ムちゃんも笑顔で、エブ○スタちゃんの差し出した手を自分の右手で取って握ります。


「応募総数が三千十五作品、最終選考に二百十一作品、特別賞受賞作は十五作品……とても素晴らしいコンテストだったわ」

「いやあ、それほどでもあるけどね」


 カク○ムちゃんはエブ○スタちゃんと見つめ合いつつ、照れながら後頭部を掻きました。


「でも大賞作が四作品だったわね? どういう事?」

「……」


 カク○ムちゃんは苦笑いしつつ目を泳がせて、エブ○スタちゃんから視線を逸らします。


「煽り文句を賞金総額四百万円に変えた方がいいんじゃない?」

「……チッ!」


 カク○ムちゃんは渋面に変わると舌打ちをしました。


「まったくケチくさいわね。男だったらドーンと最初に言った通りに六百万円ぐらい出しなさいよ?」

「わたしゃ女だ!」


 カク○ムちゃんの男らしいツッコミが、エブ○スタちゃんに入りました。

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