第5話

「それじゃあカク◯ムちゃんは、わたしの事が嫌いなわけじゃないんだね?」


 な○うちゃんは右手で胸を抑えて、ほっとした笑顔のままで頬を赤らめました。


「当たり前じゃない! な○うちゃんの事は、だぁい好きだよ!」

(だいぶ前を走っているから、うぜえって思った事はあるけど……)


 本音を隠すのが上手なカク◯ムちゃんです。


 な○うちゃんは困惑の表情に切り替わるとカク◯ムちゃんに尋ねます。


「それなら、どうして異世界転生や転移を除け者にするような事ばかりするの?」

「な○うちゃん、それは違うわ。あたしは決して異世界転生や転移を除け者にしているわけじゃないの」


 カク◯ムちゃんは、いつになく真剣な表情をして答えます。


「確かに異世界転生と転移は、今やweb小説界の頂点に君臨していると言っても過言ではないジャンルだわ」


 カク◯ムちゃんは、な○うちゃんの割った窓から外を眺めます。


「必ずしも一過性のブームとは言えない程の根強い人気もある。でもね……どんなブームにも、きっと大きな波が訪れるものなのよ……」


 カク◯ムちゃんは遥か遠くに見える水平線を目を細めながら睨みます。


「もし異世界転生や転移のブームが下火になってしまった時に、あたし達が他のジャンルの作品を育てていなければ……きっと、web小説サイト界は崩壊してしまうわ」


 カク◯ムちゃんは振り返ると微笑みながらも力強い眼差しで、な○うちゃんと目を合わせます。


「あたしは……このweb小説サイト界で、そんな終末を迎えさせない為にも我が身を削って頑張っているのよ」

「カク◯ムちゃん……」


 な○うちゃんは瞳をウルウルさせながらカク◯ムちゃんの両手を取って握りしめます。


「カク◯ムちゃん! その心意気や良しだわ! 私も、あなたに協力する!」

「ありがとう! な○うちゃん!」

(本当は異世界転生と転移じゃナローちゃんに勝てそうもないから、差別化を図って出し抜きたかっただけなんだけどね……)


 本音を隠すのが上手いカク◯ムちゃんでした。

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