第11話

 カク◯ムちゃんは胸元から口紅を取り出すと、リボルバー式拳銃のシリンダーに込めます。


「今度のは、ただの弾じゃ無いわよ……」


 スライムに向かって狙いを定めて発砲。

 着弾すると、スライム全体が灰色に染まっていき固まってしまいました。


「やったー!」


 ガッツポーズするカク◯ムちゃんにエブ◯スタちゃんが尋ねます。


「凄い威力ね。なんて弾なの?」

「ふふふ……相手の体内で増殖を繰り返しながら、免疫抗体に対処しつつ侵食して、瞬時に全細胞を破壊させる対魔物用の特殊ウィルス入り液体を弾に仕込んでいるの。通称、横破魔液弾よ」

「……『横』要素は、どこら辺にあるの?」


 砂山のようになったスライムの死骸を指差しながらアル◯ァポリスちゃんが尋ねます。


「ね、ねえ、カク◯ムちゃん? 中にいた、な◯うちゃんは無事なんでしょうね?」


 カク◯ムちゃん、顔面プルーレイです。


「な、な◯うちゃあぁぁあんん!?」


 カク◯ムちゃんは慌てて砂山に駆け寄りました。


 ◇


 な◯うちゃんは着弾の直前に皮膚の細胞を一時的に石化していたので無事でした。


「うう……靴下と下着だけの姿のままは恥ずかしいよぉ……。もう、お家に帰りたいぃ……」

「しょうがないなあ。私の制服と靴を貸してあげるわね?」


 アル◯ァポリスちゃんが持って来ていた予備の制服と靴を、な◯うちゃんへと渡します。


「アル◯ァポリスちゃん、ありがとう!」


 な◯うちゃんは喜びましたが、渡された靴は少し窮屈だったので、それなりに苦労して履きました。

 彼女は次に制服を着た後で、胸を抑えてアル◯ァポリスちゃんへ尋ねます。


「……アル◯ァポリスちゃんって、意外と小さいんだね?」

「……おい、それは靴のサイズの話なんだろうな?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る