第23話
「あれ? いい匂いがするな?」
遠泳から戻ってきたエブ◯スタちゃんが匂いを嗅いでいます。
真っ赤なハイレグの食い込みを直しながら、ビーチパラソルのある場所に近づきました。
「美味しそうな匂いね?」
紺色の競泳水着姿のアル◯ァポリスちゃんも一緒に戻って来ています。
「ちょうど焼きそばが出来たよ。こっち来て食べなよ?」
カク◯ムちゃんに言われた二人は、彼女の様子を見て目が点になります。
彼女は、な◯うちゃんの硬化した背中の上で焼きそばを調理していました。
「焼きそばを作るつもりが鉄板を持ってくるのを忘れちゃってさ。な◯うちゃん、眠ると勝手に肌が硬化するから、丁度いいかな? ……って思って」
「な◯うちゃんの許可は取っているの?」
エブ◯スタちゃんが呆れ顔で尋ねました。
「いたずらしないで、って言われた」
「ダメじゃん」
「でも、それって『絶対に押すなよ?』と同じ意味なんじゃないの?」
カク◯ムちゃんは、へらへらと笑って答えました。
アル◯ァポリスちゃんはカク◯ムちゃんの側に座って、な◯うちゃんの背中を見つめます。
「なんだか陶板焼きみたいね?」
「コンロ用のガスボンベとバーナーはあったから、な◯うちゃんの背中を炙って熱してあるの」
「よく起きないものね……」
カク◯ムちゃんは焼きそばを紙皿に盛りつけます。
「仕上げに追いオリーブをかけてみるわ」
カク◯ムちゃんは怪しげなオイルを焼きそばに垂らします。
「うえっ……それ、美味いのか?」
「さあ? 食べてみてよ」
エブ◯スタちゃんは紙皿を受け取ると、焼きそばを一口だけ食べました。
「うん、案外いけるな」
「キャベツを多めにして正解だったわね」
アル◯ァポリスちゃんも美味しそうに口に運んでいます。
ふとカク◯ムちゃんが海の方を見ると、砂浜に向かって来る人影がいました。
エブ◯スタちゃんは、その人物が何者か分かるとギョッとします。
「マグ◯ット!ちゃん……!?」
波打ち際にいたのは頭に大量のワカメを被った黒いビキニスタイルのマグ◯ット!ちゃんでした。
彼女は匂いに誘われるように近づいて来ます。
そしてカク◯ムちゃんの側まで来ると、じっと紙皿の焼きそばを見つめました。
「食う?」
カク◯ムちゃんは彼女に紙皿を渡します。
マグ◯ット!ちゃんは少しだけ食べてみました。
「……美味しい」
その言葉を聞いたカク◯ムちゃんは、満足そうに微笑むと自分も食べ始めます。
「美味ぁい! やっぱり夏の海辺は焼きそばだね!」
◇
その頃な◯うちゃんは悪夢を見ていました。
彼女は寝言を呟きます。
「カク◯ムちゃん……細くて黄色い麺みたいな触手で首を絞めないで……気持ち悪い」
ー 終劇 ー
カク◯ムちゃん(仮) ふだはる @hudaharu
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