第16話
カク◯ムちゃんは右手を胸に置いて誇らしげに言います。
「マグ◯ット!ちゃんの気持ちは、分からないでもないけれど……小説は書籍化されてこそ表舞台に立ち花開くわ。あたしは、その道のりを投稿者のみんなに提供したいのよ。誰にでも辿り着けるような場所ではないけれど、険しい坂道だからこそ登る価値があると思うわ」
な◯うちゃんが小さく拍手をしました。
でも、マグ◯ット!ちゃんは不機嫌そうな目でカク◯ムちゃんを軽く睨みます。
「……確かに本は素晴らしいアイテム。でも、その甘美な恩恵を享受できるのは、ほんの一握りの作家だけ……。もっと、多くの人達が自信を持って作家であると思えるように、我は彼らを救いたい」
「エゴだわ、それは……」
エブ◯スタちゃんがマグ◯ット!ちゃんに聞こえるように呟きました。
マグ◯ット!ちゃんは、その諫言を無視して涼しげな表情を崩しません。
「マルチメディアに特化されたモバイルデバイスの普及によるニーズの多様化と細分化に追いついていけず、旧態依然としたネットワークの利用の仕方しか出来ない貴女達は、滅びゆくオワコンなのよ。この世界は……web小説サイト界は我が救ってみせる」
マグ◯ット!ちゃんは高らかに右手を挙げて、上に向かって人差し指を伸ばします。
「天を見なさい、カク◯ムちゃん。自分の運命が貴女にも見えるはずです。あのデス兆星が……」
デス兆星とは、普段は見えませんが見えるようになると、近い内に死んでしまうという恐ろしい凶星の事です。
カク◯ムちゃんは自分の頭上を見て驚きます。
「ああっ!? 私の頭上にデス兆星がっ!?」
「……ここ洞窟よね?」
「……ダンジョンですからね」
「どうして、見えるのかしら?」
エブ◯スタちゃんが尋ねて、な◯うちゃんが答え、アル◯ァポリスちゃんが不思議がりました。
アル◯ァポリスちゃんはマグ◯ット!ちゃんに質問をします。
「あのぉ……『貴女にも見えるはずです』と言ったって事は、カク◯ムちゃんだけでなくマグ◯ット!ちゃんにもデス兆星が見えているのかしら?」
そう尋ねられたマグ◯ット!ちゃんは、一瞬だけ固まります。
そして、顔面がブルーレイになりました。
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