第2章

第9話

「えっ!? 魔王が現れた?」


 玄関の扉を開いたままドアノブに片手をかけながら、な◯うちゃんはカク◯ムちゃんに尋ねました。


「そうなの。そこで、お父さまから調査を依頼されたんだけど……な◯うちゃんにも手伝って欲しいなあ……って、思って……」

「それは、いいけど……どこへ調査しに行くの?」

「この近くのダンジョンなの」


 な◯うちゃんの顔面がブルーレイになりました。


「や、やだよぉ! わたし、カク◯ムちゃんがエブ◯スタちゃんの頭に風穴を開けてからトラウマになっちゃって、マカロニ以外の穴が開いている物が苦手になっちゃったんだから!」

「あ、あたしだって、ちくわぶ以外は苦手になっちゃったわよ!」


 カク◯ムちゃんは、な◯うちゃん家の玄関先で土下座をしました。


「お願い! 独りで穴の中に入るのが怖いの! 一緒に来て!?」


 な◯うちゃんは困った顔になりました。


「……ひとつだけ条件があるんだけど?」


 ◇


「で、そのトラウマの要因なのに、あたいにも来て欲しいと?」


 エブ◯スタちゃんが自宅の玄関先で尋ねると、カク◯ムちゃんと、な◯うちゃんは大きく頷きました。


「いいけどさあ……あんたら洞窟以前に魔王が怖くないの?」


 尋ねられた二人は不思議そうに顔を一度だけ見合わせると、一緒にエブ◯スタちゃんの方を向いて首を左右に大きく振りました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る