第14話

 マグ◯ット!ちゃんは、カク◯ムちゃんたち四人に向けて語り始めます。


「web小説サイト界は今、危機に瀕しています。いいえ、web小説サイト界だけではありません。インターネットの普及はメディアのグローバル化を促進して、コンテンツはロハの時代などと居直られて追い銭を要求されるような世知辛い世の中になってしまいました。世界に市場が広がりを見せているにも関わらず、全てを文章で表現しなければならない小説は、映画やゲーム、コミックに比べてローカライズの手間が尋常ではありません。主な市場が国内に限定されてしまうのに、少子化のせいで新しい若年層の読者の確保も容易ではありません。団塊ジュニア世代では賃金の格差が開いて子供どころか結婚すら望めず、かつて日本を支えたと言われたオタク達ですらコンテンツを買う事に躊躇いを感じるようになり、無料コンテンツを広大なネットの海の中で漁り始めるようになりました。一昔前はクリエイティブの手助けとなっていたパソコンは衰退し、スマホの台頭によってアプリは課金ゲーの独り勝ち状態が今なお続いています。ユーザーは揉んだり舐めたりすら出来ない異性キャラの水着ガチャに大金を投じたり、テレビアニメを録画する為だけに高価なレコーダーは買うくせに肝心の円盤の売り上げは落ち込む一方です。そして、そのクールでアニメが最終回を迎えると、まるで満腹だからいらなくなったオカズを乗せた皿ごと生ゴミに捨てるかのように原作小説の続きすら買わなくなってしまいます。お金の流れは生き物です。渡るべき場所へと流れなければならない。そうでなければ人類による創造の歴史、物語を創作する力は途絶えてしまう。我は、そう気が付いたのです」


「うにょ〜ん!」


 胡座をかいていたカク◯ムちゃんが、片手に持っていたカード一枚を床に置きました。


「あー! カク◯ムちゃん、◯ノって言ってなーい!」


 カク◯ムちゃんの正面で床の上に正座をしていた、な◯うちゃんが指摘します。


「あたしの地方じゃローカルルールで、これもウ◯って言っている内に入るの!」

「そんなのダメだよ! ちゃんと正式なルールに則って遊ばないと!」

「な◯うちゃんさあ……それぐらい、いいじゃない。変な所で生真面目なんだから……」


 エブ◯スタちゃんが、な◯うちゃんの隣で胡座をかきながら頬杖して、呆れた感じで言いました。


「まあまあ……いつもの、じゃれ合いでしょ? 二人とも仲がいいわよね」


 アル◯ァポリスちゃんの言葉にカク◯ムちゃんと、な◯うちゃんの顔が赤くなります。


「そ、そんなんじゃないわよ!?」

「そ、そうです……よ?」


 四人に演説を無視されたマグ◯ット!ちゃんは、階段の上で膝を抱えて、しゃがみ込みながら『の』の字を描いていました。

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