11話 彼の義兄弟と希望の花

「あ!あの人だよ!駅の中にいる!」


 あぁ、あの人か。お?こちらに気づいたみたいだ。


「あれ?もしかして…」

「はじめまして。中村橋 富雄の息子の中村橋 石動と申します。」

「ああ。話は聞いてるよ。僕は平城山 松前。16歳だよ。」

「平松…?お前平松なのか…?」

「そ、その呼び名って…まさか真幸!?」

「ああ、そうだ!」

「そういえばあいつ、そんな名前だったな。」

「いつもの巌根に戻ったね!」

「テレビに出てた『巌根 真幸』ってやっぱりおまえだったんだ!」

「とりあえず、巻にも会わせてやろう!」

「巻も生きてるのか!?そりゃやべーや!」


 とても嬉しそう。会えて良かったね、巌根。こちらとしては元に戻ってくれたことの方が嬉しいんだけど…


「ところで、巻…って誰?」

「平城山 松前さんの妹さんだよ。ほら、同じクラスじゃん。」

「あぁ…あの子ね…」


「平松、あの時死んだんじゃなかったのか?」

「勝手に殺すなよ…あ、あの雪崩の時ね、飲み込まれた直後から気を失ってて…気づいたらここに居たんだよね。その後僕を今まで養ってくれたのが富雄さんだったんだ。」

「つまり義兄弟ってこと?なんなら巻さんとも?マジで?」

「義兄弟の定義がよくわからないが…多分そうなんじゃないか?」

「なんなら巌根も…かな…?」

「この一瞬で兄弟増えすぎじゃないか!?いや、知らなかっただけか…?」


「久礼、おつかれ。あの巌根相手によく耐えたな。」

「岸玉…」

「お?ここからBLが始まるのか?ホモか?ホモだろ?お?」

「ホモじゃねーよ!てか、煽りのスキル低すぎだろ!そもそも、単なる友情だろ!な、岸玉!」

「えっ?」

「えっ…お前まさか…」

「なぁんて、嘘だよ。ホモじゃないぞ。」

「なんだよ、一瞬焦ったじゃねぇかよ…」

「驚くとき、なんて声、出してやがる…久礼ぇ!」

「俺は岸玉の親友、久寿川 牟礼だぞ…これくらいなんてこたぁねえ…てかこのネタ古くない?」

「やってみて思ったけど一瞬懐かしいと思ったな。」


「久礼たちなんのネタやってるの?」

「わからないわ。」


 積もる話もあるだろうし、僕たちは優しく見守るようにしようか。みんなも同じ考えらしい。あぁ、こういうのって良いよね。ドラマとかでよくあるけど。


「あ、そうだ。」

「どうした平松?」

「みんな六木半島むつぎはんとう駅や切黒林せっこくばやし駅、砂利山川原駅には行ったかな?」

「砂利山川原は通ったわね。」

「六木半島と切黒林…あっ…」

「久礼、わかるのか?」

「まぁ、マイナーだけど僕も衝撃を受けたからね…」

「久寿川君、ネタバレはしないでね?」

「わ、わかりました。」


 彼らは色とりどりのフリージアに見送られ出発した…


 次の目的地…六木半島

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