6話 3日目



「おはよー!」

「朝っぱらからうるさいな…今何時だっけ?」

「8:00だね。」

「あ、そうでもなかった。」

「おはよ。」

「待たせてすまんな。」

「全員揃ったし、じゃあ出発するか。」

「では先生、行ってきますね。」

「おう。ちゃんと日ノ出港出発に間に合うように戻ってこいよ!」

「はい!」


[この電車は境収環状線支線各駅停車 神山上行きです。次は日ノ出港、日ノ出港。The next station is Hinodekō. 境収環状線本線、鯖名中央・案院橋方面はお乗り換えです。]


「あ、そうだ。みんなに聞きたいことがあるんだけど…」

「なに?」

「副校長先生いるじゃん?」

「うん。上沢かみさわ 藍紀あいき先生ね。それがどうかしたの?」

「あの人って性別どっちなのかな?」

「そういえば、中性的な顔立ちしてるよね」

「ああ、あの人ね。あの人は男だね。」

「なんで?」

「あの人、男子バレー部の顧問やってるから…」

「あ、あぁ…そういえば、そうだね。」

「あとあの人、鉄道会社持ってるでしょ?」


 …えっ?


「「「「「えっ、えええええええ!」」」」」


[本日も者張鉄道をご利用いただきありがとうございました。次は、終点、神山上、神山上。The next station is Shinsan-ue. The last stop of this train.]


「奈平鉄道っていうの、知らない?」

「あ、肆駅がある路線を持ってる会社だね?」

「初めて聞いた…」

「夏板駅から伸びてる路線だね?その中心の奈平駅付近は駅名駅くらい栄えてるみたいだね。」

「あれ?うちの学校鉄道持ってる人多くない?」

「そんなことよりついたよ!」


 電車を降りて火口の方まで歩いたけど…綺麗だな…


「火口ってこんな感じになってるのか。」

「四神の板は触らないようにな!」

「わかったよ!」

「でも見るくらいならいいよね?へぇ、スザクってこんな感じになってるのか…」

「そろそろ参拝の儀式やるか。ここではお賽銭の代わりにじゃぱりまんを投げ込むみたいだな。全員用意はできてるか?」

「「「「「うん!」」」」」

「それじゃあ、放り込め!」


 じゃぱりまんを投げ込むのが参拝方法なんて珍しいね。あ、あと二礼二拍手一礼…と。


「そろそろか?」


パンッ! パンッパンッ!


「きた!」

「花火か…」

「花火が起こるメカニズムはもう解明されてるみたいだけど、難しいからわかんないや!」

「早めの昼飯食べちゃうか?」

「そうしようか。」

「じゃあここでちょっとQK!」


パンッ! パンッ!


 え?なんで花火の音がしてるの?


「ん?なんだ?」

「あ!あの人は!」

「お?とうとうここに人が来るようになったのか…」

「上沢 藍紀先生!」

「どこでここに参拝することを知ったんだ?」

「あ、このパンフレットを見て…」

「ふぅ〜ん、これねぇ…このパンフレット、誰が書いたか見てもらえる?」

「あ、上沢 水城みずきって書いてある…」

「それ、うちのじいちゃん。」


「「「「「「ええええええ!?」」」」」」


「あと、ここに参拝するのはもともとうちの伝統だったんだけど、じいちゃんが広めちゃったみたいだね。あの人、金になるものは全部言っちゃうからなぁ…」

「じゃあここに書いてある『参拝の歴史』って、本当なんですか?」

「う〜んと?『昔ホワイトライオンのフレンズと人のハーフの子がいて、セルリアン化しそうになった時にここにいるセーバルに助けられたため。』…間違いではない…かな…?」

「じゃあ、もしかして!?」

「そう。僕にもホワイトライオンのフレンズの血が流れているってことだ。」


 マジで!?じゃあ上沢先生をモフモフでk…いや、流石に大人の男性をモフモフするのは…気がひける…


「えっ、それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫、大丈夫。ホワイトライオンの血が濃くなることはないから。そうだ。名前の由来についても話しておこうか。そのハーフの子のあだ名が『シロ』でその親のホワイトライオンの名前が『ユキ』だったけどそれが縮まって『キ』だけになってからうちは隔世で『色の名前+キ』になるんだよ。たまに例外で色の名前がつかなかったり『キ』が『ユキ』になったりするけど。」

「確かに、上沢先生も『藍』色に『紀』だし、このパンフレットを書いた人も『水』色に『城』だ…」

「ほら、そろそろ行かないと日ノ出港出発に間に合わないぞ!」

「うわっ!?もうこんな時間!?早くこの電車に乗ろう!」


[本日も者張鉄道をご利用いただきありがとうございます。この電車は境収環状線支線各駅停車 日ノ出港行きです。次は日ノ出港、日ノ出港、終点です。The next station is Hinodekō, the last stop on this train. 境収環状線本線はお乗り換えです。本日も者張鉄道をご利用いただきありがとうございました。]


「間に合うか!?」

「ギリギリセー…フ?」

「上沢先生と中村橋の班、どこ行ってたんだ?もう他の教員、班は全て揃ってるぞ?」

「話に夢中になっちゃって…」

「お?今回は謝れたな。」

「まあ、時間には間に合ってるからよしとしよう。じゃあ、出発するぞ!」

「じゃ〜な〜!キョウシュウエリア〜!」

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