19話 1日目-2
[次は
「海楽しかったな!」
「そうだね!」
えっ、あの顔で肆くんも楽しめたの?もしくは嘘?
[まもなく肆、肆。The next station is Ichikura, HY-04.]
「あ、そうだ、僕の先祖はやっぱりここにいたらしいよ。」
「名前が先なのか地名が先なのか、謎だな。」
「お父さんの名前が肆
[次は
「なんでそれでわかるの?」
「肆 玖漆って全部数字の大字、例えば一だったら下にカタカナの『ヒ』がついてる『壱』のことを言うんだけど、それだけでできてるんだよね。それで僕の名前を数字に直すと4、9、7。497。」
[まもなく南岸花、南岸花。The next station is Minami-kishihana, HY-03.]
「それとお父さんの名前になんの関係が?」
「お父さんの名前も同じようにできていて、数字に直すと4、9、6。496。ほら、1減ってるでしょ?」
「それで400の時の年を計算すればいいのか、なるほど。」
[次は
「ほう、これはまた珍しい駅だね!」
「え?駅名は難読じゃないぞ?何が珍しいんだ?」
「実は…」
[まもなく岸花覇蘇、岸花覇蘇。The next station is Kishihana-haso, HY-02.]
「今まで平山線に乗ってきて、
「うわっ、分かりにく。」
[次は
「お、やっと街っぽいの見えてきたな。」
「いやいや、出伝市にもあったでしょ。」
[まもなく奈平城下、奈平城下。奈平新幹線はお乗り換えです。この電車は奈平線直通 平沢市行きです。The next station is Nahira-jōka, HY-01.]
「だから、出伝市から奈平城下まで遠いだろって。」
「あ、そういうことね、ごめん勘違いした。」
[本日も奈平鉄道をご利用いただきありがとうございます。この電車は奈平線 平沢市行きです。次は
「よし、次降りるよ!」
「次のところには何があるんだ?」
「なんか奈平城っていう城の跡地みたいだけど…」
[まもなく奈平城址、奈平城址。川野吉田線、県営地下鉄東方線支線はお乗り換えです。The next station is Nahira-jōka, NH-01.]
「着いたね。」
「もはやこれ砂利の山じゃないか?」
「でもぽくはなってるね。」
「あ、見て!向こうから電車が来るよ!」
「あれは…県営地下鉄東方線だな。」
「すごいね、こんな城跡の下を通るなんて!」
「じゃあ、もう見るとこ無いし早速裏城址駅行こうか。」
「あれ、予定表に書いた電車より数本早いのに乗れそうじゃない?」
「まあ奈平で時間潰せるでしょ?」
「てかこの砂利の山から降りないといけないのか。」
「結構急な山道だね。」
「あの今裏城址駅に着いた電車に乗れそうか?」
「無理しないで次の電車にしようよ。」
「結構急だし尻で滑ってけば間に合うかもな?」
「すごい案だすなお前。」
「やめとこうよそんな痛そうなの。」
「しょうがねぇな。ま、ゆっくり降りて行くか。」
僕たちは無事に下山し終え、駅に着いた。
「僕たちが行程表に書いた電車より2,3本くらい早いのかな?」
「10分くらい早いし…そうじゃないか?」
「早く奈平の街を見てみたいな。」
「あ、そういえば奈平県庁見学するんだっけか?」
「そうだね、静かにしないといけないね。」
「あ、電車が来たよ、乗ろう!」
[次は
「あ、もう次の駅が終点なんだね。」
「もしかしたら宿の位置確認できるかもな。」
[まもなく県営奈平、県営奈平、終点です。新東方線、奈平鉄道線はお乗り換えです。The next station is Kenei-nahira, the last stop.]
「少し早くついたね。」
「じゃあ県庁向かおうか。」
県庁に向かって歩くこと数分…
「あ、これ宿か。」
「ここに戻って来ればいいんだね。」
「てか本当に県庁に近いんだなこの宿。」
「もうあそこに県庁も見えるし。…ってかこれ道間違えてないか?」
「大丈夫だよ!この墓地抜ければ県庁だよ!…多分。」
「本当に大丈夫か?」
数分歩いたらちゃんと県庁についた。が、扉には「県庁職員用通用口」と書かれていた。
「県庁の人たちはこっちから入ることもできるのか。でも一般はこっちから入れないんだな。」
「建物沿いに通っていけないかな?」
「一応いけるみたいだな。」
「よかった…って、この狭いところ通るの?」
「通れないわけでもないが、足元気をつけろ。」
狭い路地を歩いていくと大きな通りに出た。
その後先生や他の班と合流してガイドの県庁の人を待つことにした。
「そういえばガイドさんってどういう方なんだろうね。」
「ガイド3回あってどれか1回に必ず入れって言われてたが、そういえばガイドの名前書いてなかったな。」
「そういえば先生がその3回のうちどれか1回は知事が担当するって言ってたような言ってなかったような…?」
「あと、その回に限りとある部屋に入れるって言ってたよね。どこなんだろう?」
そうこう話してるうちに、ガイドの県庁の人が来た。
「皆さん初めまして、私がガイドの
「山藤さん…ってことは!」
「はい。普段は奈平の県知事をやらせていただいてます。」
ここでみんなのテンションが最高潮になって騒がしいったらありゃしない。先生がうるささに耐えかねて口を開いた。
「静かに…静かに!これから県庁の中入るんだから仕事の邪魔しないようにな!わかったな!」
全員が返事をしたところでガイドが始まった。部署やここでどんなことができるかなどを教えていただいた。
ガイドが始まって数分経った時、とうとう知事の部屋(?)みたいなところについた。多分ここが「この回にしか入れない部屋」なんだろう。
「この椅子は私がいつも座っている椅子です。誰か座ってみたい人いますか?時間の都合で一人くらいしか座れませんが。」
少しどよめきがあったのち、一人の生徒が手を挙げた。
「山藤さんの椅子、座ってみたいです!」
全く見覚えがないと言ったら嘘になるが、どこかで見たことがあるような人が手を挙げていた。
「では、どうぞ。お名前を教えてくれるかな?」
「
「あぁ、平城山君か。」
えっ、平城山さんって…ああ、巌根の家に住ませてもらってるんだっけ。それよりも…
「えっ、平城山さんと山藤さんって知り合いだったんですか?」
「はい。皆も使ったであろう奈平鉄道も私と平城山君がほとんど作りました。」
「えっ?上沢副校長先生じゃないの?」
「上沢さんの会社は列車を運行しているだけで、本当に建設してたのは私達です。ただ、私たちだけでは及ばないところも多かったので他にもたくさんの方々に手伝っていただきました。」
「なるほど…」
「そのおかげで奈平はこんなにも発展しました!」
大人の世界が難しいことがわかったところでガイドは終了した。
「ここで昼食をとって行ってください。本当は一般の方が入れない、いわば社食のようなところですが今日は特別に駅東・駅西高校の生徒に限り解放します!あっ、ただ、静かにお願いします。」
食事中に僕たちはこれからの予定を確認した。もちろん、うるさくならないように気をつけながらね。
「これからどうするんだっけ?」
「えーっと…誰か行程表を挟んだしおりすぐ出せる人いる?」
「あ、俺すぐ出せるよ。ほら。」
「今…ここか。だから次は奈平線・平沢空港線直通平沢空港行きに乗るのか。」
「ところで今何時だっけ?」
「ちょうど13時だな。」
「そろそろでないと間に合わないね。みんな動けそう?」
「うん。大丈夫だよ。」
「じゃ、行くか。」
先生に話をして奈平駅へ向かった。
「県庁って県営奈平からより奈平からの方が近いんだな。」
「『県営』なのにね。」
「あ、もう奈平駅に着いたね。
「あ!乗る電車もう来てるよ!座っちゃおう!」
[この電車は奈平線 平沢空港線直通 平沢空港行きです。次は
「結構高いところを通るんだね。」
「てか本社前ってどこ?」
「あのなんか変な塔があったところだろ。」
[まもなく平昌、平昌。The next station is Hiramasa, NH-02.]
「えっ?あそこ駅なの?」
「仮乗降場くらいの感覚なんじゃない?」
「それにしても結構高いね…」
[次は
「この横の路線って?」
「奈平環状線と奈平新幹線だね。」
「あれ?奈平環状線って平昌通過?」
[まもなく奈平公園前、奈平公園前。奈平環状線はお乗り換えです。The next station is Nahira-kōemmae, NH-03.]
「そうみたいだね。」
「今調べたけど平上って一応新幹線止まるみたいだね。」
[次は
「ここ海の上を通るんだね。」
「風は感じれないけどな。」
「電車だし当たり前じゃない?」
「まあ…そうか。」
[まもなく平上、平上。奈平新幹線、奈平環状線はお乗り換えです。The next station is Hirajō, NH-04.]
「え、まだ陸地見えてないよ?」
「海の上にある駅なんだね。」
「ここでまた遊ぶぞ!」
「と言ってもここは砂じゃないから釣りくらい?」
「釣れても入れるところないから結局遊べないんじゃない?」
「そっか、そうだよね。遊べないか。とりあえず写真撮ったりメモしたりしとこう!」
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