3話 1日目

 はぁ、やっと着いた。船旅疲れたけど…これからは電車だ!


「じゃあまず狐の温泉宿行こうか!」


[この電車は境収環状線急行 旅館蟻塚、狐温泉方面行きです。次は旅館蟻塚、旅館蟻塚。The next station is Ryokan-aritsuka. ロッジアリツカ最寄駅です。]


 あ、例の班だ。何話してるんだろう?


「とりあえず荷物置いてから行こうじゃないか。」

「「「「「お、おう。」」」」」


〈なんだ、仲よさそうじゃん。〉

〈いや、みんなの顔を見てみろ。みんなあいつに怯えてるだけだぞ。〉

〈あっ、ほんとだ。ここで僕たちの班以外は全員降りるんだね。〉


[この電車は境収環状線急行 狐温泉、人鳥台方面行きです。次は、狐温泉、狐温泉。The next station is Kōnsen.狐の温泉宿最寄駅です。

雪山ゆきやま源泉前げんせんまえへおいでのお客様はお乗り換えです。]


「次だぞ!」

「やっと願いが…!」

「着いたわね。」


 なぜか岸玉の目がキラキラしてる。こんな岸玉始めてみた…


「今日ここで泊まることってできないのか?」

「何言ってんの?流石にそこまでできないでしょ。」

「わかったお父さんに電話してみる。もしもし…えっ!本当!やった!みんな!ここで泊まっていいって!」

「ちょ、騒ぎすぎだって。」


 ほら、あっちからフレンズに見られてるよ…


「一応ここにも泊まる可能性があるって聞いてたから部屋は開けて置いたのが良かったわね。」

「うわぁ!ギンギツネだ!初めまして!岸里 玉出です!一回会って見たかったんですよ!うわあああああああ!」

「一回落ち着こう。な?」

「変な人だね。で、僕とゲームしたい人は。」

「俺だよ!てかキタキツネちゃんもいるぅ!」

「俺も。」


 え?巌根も?イメージと違うな…


「あら、あなたはもしかして…巌根 真幸さん?」

「あぁ。そうだが。」

「いつもテレビで拝見させていただいてるわ。やっぱり生で見た方がキレイね。」

「だからって特別扱いしないでくれよ?」

「わかってるわよ。」


 あれ?巌根とギンギツネさんって知り合いなの?


「あなたたちはどんな関係が?」

「みんなには言ってなかったが、幼少期ここで過ごしたんだ。平城山ならやま まきとその兄と一緒に…うっ…」

「無理に思い出さなくていいわよ。」


 一体巌根になにがあったんだ…?


「とりあえずゲームしよう!」

「うん!」




その日の夜…


「これで10連勝だね。弱すぎるよ…」

「くっそー!まだまだ!」

「岸里、そろそろ交代してくれないか?」

「真幸とやった方が楽しい。」

「ぐっ…」


その頃温泉では…


「そんなことより温泉気持ちいいわね!」

「そうでしょう?管理のやりがいがあるわね。」


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「みんな女子風呂覗かないの?」

「覗くわけないじゃん。なんでそんなリスクあることしなきゃいけないの。」

「しかも二次元で十分だし。当たり前じゃん。」


〜数分後〜


「ふぅ〜さっぱりした〜」

「やっぱり真幸の方が強いね。」

「ぐっ…」

「やめて!岸玉のライフはもうとっくに0よ!」

「こら!キタキツネ、ここでは巌根さんって呼びなさい!しかもまだゲームしてたの?早く入りなさい!」

「昔の呼び名の方がいいよ。ね?真幸?」

「まあな。でもとりあえず温泉に入ろうか。岸里にもコツ教えてやるから。」

「はぁ〜い…」

「お願いします!師匠!」

「ははは。師匠は言い過ぎだよ。」


 あ、そうだ。今のうちに気になってるあれをギンギツネさんに聞いとこう。


〈そういえばさっきから気になってたのですが、巌根にどんな過去が?〉

〈昔、双子の平城山 松前まさきと平城山 巻、そして巌根 真幸が捨てられてたの。そこを私たちが拾ってここで育ててあげたの。とある日、その三人が外で遊んでたら、雪崩が起きちゃって、平城山 松前が飲み込まれちゃったの。すぐに二人は私たちを呼びに来てくれたんだけど、戻る頃にはもういなくなっちゃってて…〉

〈そんな過去が…〉

〈同じ「まさき」同士仲よかったんだけどね…〉


 そりゃ巌根もああなるわけだ。


「さてと、とりあえず夕飯の準備しとくわね。」


〜数十分後〜


「夕飯はじゃぱりまんね!」

「僕がこれを食べられる日が来るなんて…」

「噂通り美味しいね!」

「部屋は、稲梓さんは私たちと一緒に寝てくれるかしら。あとは男子部屋があるから。それでいいかしら?」

「ええ。分かったわ。」


そして就寝時間になり…


「夜はみんな徹夜する感じ?」

「いや。すぐ寝る感じ。」

「そうか…(自分のしたいことができない…)」

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