第12話 騎士と姫

 召還魔法で呼ばれた大きな狼が襲ってくる。

 あ、これは死んだか。


「伏せて!」


 声がして俺はすぐ伏せる。

 すると矢が飛んできて大きな狼に刺さる、大きな狼は倒れる。

 残り2匹。


「フレーム・ショット」


 今度は火の玉が飛んできて狼を丸焦げにする。

 火の玉が飛んできたほうをみるとアイラが放ったのか。足元には縛り上げられる男たち6人。

 残り1匹。


「って、今俺伏せて動けないんですけど!」


 俺は悟った。死ぬんだ。目をつぶる。

 転生してすぐまた死ぬとか女神様に悪いな。


「てやぁ!」


 声がして目を開けると大きな狼の胴体は真っ二つに分かれていた。

 見上げると剣を横に振っている騎士がいた。


「貴様が、この事件の黒幕だな」


 騎士は大きな狼を倒した剣をフードを被った男に向ける。


「クッ、こうなればもう一度召還ま!?」


 召還魔法を言う前にうめき声を上げる。

 男の右手にはナイフが刺さっていたからだ。


「今だ、取り押さえろ!」


 騎士の掛け声のもと森から数名の騎士がフードの男を取り押さえる。

 縄で縛り上げ他の男たちともに一つの場所に固める。


「助かったよ、ありがとう」

「いえ、こちらこそ危ない場面を救っていただき感謝する」


 俺は助けてくれた騎士に礼を言う。

 騎士は兜を外し向き合う。

 俺は兜を外して驚いた、騎士は金髪の髪で、肩まで伸ばした女だったからだ。


「私はコウエイ国の騎士、ユミナと名乗ります」

「俺はショウ、よろしく」


 挨拶をしているとアイラがそばによって耳打ちした。


「魔王様行きましょう」

「ああ、そうしよう」

「マオウ?名前はショウと名乗るでは?」

「あいや、俺の名前はマオウ・ショウって言うんだ。だからマオウって呼んでくれ」


 ここで俺が魔王ってバレると面倒だしな。名前ってことにしよう。

 それにここから早く離れたほうがいいな。


「それじゃ、俺達はこれで」

「待ってください!」


 騎士、ユミナは俺達を呼び止める。


「これからコウエイ王国へ。姫様も礼をしたいと言っているので」

「姫?」


 俺は首を傾げる。

 ユミナが目を向ける方に俺も向くと豪華な馬車の扉が開き、ぱっとしない服を着た女の子が現れた。


「……姫?」




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