第5話 忘れもはありませんか?

「おはようございます魔王様」


 アイラは荷物を馬車に積み込みこんでいた。


「いきなり最初の旅で馬車使えるのか」


 俺は朝の城の玄関前に停まっている馬車を見て思った。

 こういう馬車は最初には使えないのでは?

 そんなことより、二人旅で馬車とか。


「さすが魔王」


 魔王っていう自分の立場をなぜか褒めたくなっていた。


「なに言っているんですか」

「ああ、アイラ。いや馬車に積む荷物多くないか?」


 アイラと何人かの部下が馬車に木箱をたくさん積んでいた。


「この荷物はこれからの魔王様との冒険に大切な荷物です」

「そっか。悪いね荷物を運ぶの手伝わなくって」

「いえ、こんな事を魔王様にさせるわけにはいきませんから」


 なんか悪いな、魔王だからって何もしないのは。


「なあ、アイラ俺にも何か手伝うことないか?」


 こう手持ち無沙汰な状態はなにかと辛い。


「そうですか、では魔王様に手伝ってもらいましょう」

「本当か!それで俺は何をやればいいんだ!」

「部下から町の地図を貰ってきてぐださい」

「わかった!」


 俺は城へ走っていた。


「あれ、アイラ様地図ならここに」

「ええ、魔王様にこんな雑務をやらせるわけには行きませんから」


+ + + + + + + + + +


「部下って言っても……」


 この城は大きすぎる。

 部屋だけでいくつあるんだ?

 魔王の部屋もかなり広い。なんならあそこでドッチボールができるくらいだ。

 部屋が多ければ部下もさらに多い。

 部下って呼び方になれてしまった魑魅魍魎なモノたち。

 城の外ではモンスターと呼ばれる彼らはそれぞれ心がある。それはこの数日彼らと接してわかった。


「あれ、魔王様どうしましたか」

「うん、ああ」


 名前を呼ばれ振り返る。魔王って呼ばれるに慣れてきた。

 彼はゴブリンのモンスターであった。


「もう旅にでる時間では?」

「アイラに旅に使う地図を持ってくるように言われて」

「ああ、そうでしたか。ではこちらです」


 ゴブリン君に案内され1つの部屋に案内される。


「ここは?」

「ここは、魔女の部屋です」

「魔女の部屋……」

「ええ、この部屋の中は城の歴史や外の地図など多くの書物が保管されています」

「なるほど」


 説明され扉を開ける。


「ミス・フィータ、魔王様が地図が欲しいと」


 ゴブリン君に名前を呼ばれ出てきたのは小さな体の幼女だった!


「やあ、魔王様」


 それも笑顔で向かえてくれた幼女。


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