第6話 さあ、歴史の時間だ

 魔女の部屋から出てきたのは黒い三角の魔女帽子に黒い服を着た見た目は魔女、そして見た目は幼女。


「え、魔女?」


 俺はここまで案内してくれたゴブリン君の顔を見る。

 ゴブリン君も俺の顔の理由にすごい頷いた。


「彼女はこの城の結界を創造した一人、ミス・フィータ。最高魔法師です」

「そういうことじゃ、よろしくな魔王様」


 右手を差し出してきたので俺も右手を差し出し握手をする。

 握手して手が小さいことにさらにわかった。手が小さいんだもん。


「いやいや、幼女!この魔女幼女!」

「そうだぞ、魔法の力で少し体の成長を止めたんだ」

「体の成長を止めるとか、凄すぎだろ」


 なに、魔法とはそんなこともできるのか。


「この増大な魔力を持っているミス・フィータはこの城の結界をも創造したのです」

「そういえば、さっきもその話をしていたな」

「なんじゃ、ワタシの事を知らないのか魔王様は」

「最近魔王になったもので、この世界のことも知らないもんで」

「だったらワタシが話してあげよう、ついておいで」


 ミス・フィータに言われ、部屋の奥に進む。

 部屋に入っても思ったがこの部屋は広く、大量の本が棚にびっしり入っている。

 棚の数を数えるのも嫌になりようなほどの数。


「この世界は人間界と魔界は元は友好な関係を築いておった」


 ミス・フィータは台に乗り壷にいくつかの薬品と得体の知れない物を入れかき混ぜる。


「そしてある時、世界は2つに別れた」

「それはなぜ?」

「分からぬ、だがその時から人間界は魔界を攻撃するようになった」


 壷から煙が噴出し、映像が浮かび上がる。煙に映像が映し出される。


「人間界は大群で魔界を攻撃を始め、魔界側も初代魔王様のもと人間界の攻撃を阻止しようと戦った」


 大勢の人間が剣を持ち、モンスターたちを倒していく。

 逃げ惑うモンスターたち。


「初代魔王様は多くの部下を亡くしたことにより防御から攻撃へと変えた」


 今度はたくさんの人間が倒れていく。

 町を制圧する魔王軍。


「この戦いは長い間続いた。町は火に焼け、大地には死体の山ができていった」


 悲惨な映像が映し出される。


「そのとき、人間界に一人の英雄が現れた。その人間は勇者と呼ばれ初代魔王様が配下した町や王国を1つ、また1つと開放していったのじゃ」


 剣を高々と掲げる鎧をきた人間。

 これが勇者だろう。


「勇者は大勢の人間を引き連れ魔界に攻め込んだ。初代魔王様と勇者の一騎打ちの末、魔王様は倒れた」


 やはり勇者に魔王は勝てないのか。


「しかし、魔王様は最後の力を振り絞り魔界を人間界から遠くに遠ざけ、ワタシを含めた七人に城に結界を創造するように命じた」


 城を七人が取り囲み結界を張る。


「こうして人間界と魔界は二つに別れ、新たな魔王の誕生と共に新たな勇者が生まれこの魔界にやってくるのじゃ」


 煙は消え、ミス・フィータは一息つく。


「新魔王様よ、確かこの勇者を倒しに人間界に行くのだったな」

「ああ」


 なんかすごい話を聞いた後だとやめたくなってきけど。


「だったらこれを持っていけ」


 ミス・フィータは俺に四角の箱を渡してきた。

 大きさは簡単に言うとスマホだ。スマホに似ているってかスマホでは?


「これは?」

「別の世界の言葉で言うなら通信機じゃ。遠くにいても会話ができる」

「こんな物があるですねー」

「ワタシの魔力が入っているから半永久的に使えるぞ」

「ありがとうございます」


 ミス・フィータから貰ったスマホのようなモノ通信機を眺め心の中で喜んだ。



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