第7話 想像するほど期待するな

「魔王様地図ありましたか?」


 ドアを叩く音とともに現れたアイラ。


「ああ、アイラごめん。地図は無事に貰えたよ」


 俺は手に持った地図を見せる。

 アイラは「そうですか」と言いなかなか部屋に入って来ない。


「どうしたアイラ、部屋の外に立って」

「それはわかって言っているのですか」

「なんじゃ、匂いがそんなに気になるか」

「匂い?」


 部屋に入って少し気になった香りがしたのを覚えてる。

 今の今まで忘れていた。


「アイラはこの匂いが嫌いなのか?」

「嫌いではなく、苦手なんです」


 苦手な匂い。アイラはすごく嫌そうな顔をする。

 この部屋に漂ってる匂いはなんなんだ?


「そんなに気になるか」


 フィータが聞いてきたから俺はおそるおそる頷く。


「え、ええ。それは気になりますね、アイラが苦手な物が」

「聞いて驚くぞ」

「なんなですか」

の匂いじゃよ」

「ニンニク……ですか」


 アイラを見ると顔を反らされた。

 少し顔が赤いが触れないでおこう。


「顔赤いですが、大丈夫ですか?」


 おいおい何聞いているんだゴブリン君!

 殺されるぞゴブリン君!


「そうでした、あなたには別の仕事を頼みたいと思ってました」


 アイラの素敵な笑顔で連れてかれるゴブリン君。

 君に心から敬礼を送ろう。


「さて、アイラが戻ってくるまでに部屋と魔王様についたニンニクの匂いを消すかのう」


 小瓶に入った液を霧状にスプレーされた。

 すると匂いがスーと消えた。


「さて、魔王様これからの旅を楽しんできたまえ」

「ええ、旅を楽しんできます」


 俺はフィータと握手を交わし部屋を後にする。

 馬車が止まっている場所へと歩む。


「それにしても魔王様は人間のような身体をしているのう」


 + + + + + + + + + +


「さて、それじゃ城のことはよろしく」


 俺は馬車の荷台から集まった皆に手を振る。

 長い間城を魔王が留守することになるが、この城は結界が張られているため敵が攻め込んできても大丈夫だという。

 それでも大丈夫かと思ったらミス・フィータと同等のレベルの者が3名いるというから大丈夫だろう。


「それでは魔王様行きますよ」

「よし!冒険の始まりだ!」


 城の門が開き、初めて見る城の外の景色。

 そこの光景に俺はワクワクとドキドキがあった。


「なんだよこれ……」


 そこは地獄のような景色だった。

 岩がごつごつして、骸骨もゴロゴロ転がっている。

 そこにはどこにもワクワクもドキドキもなかった。


「なに期待していたんですか」

「ワクワクの冒険だから少し期待していたのにまさかのね」

「そうでしたか、残念ですね。あ、モンスターです」

「そっか、モンスターか。はあ!モンスター!」


 冒険して数分でモンスターに遭遇。

 あ、終わった。

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