第9話 魔法授業

 森で一夜を過ごし朝になる。

 魔獣とは遭遇することなく今日を向かえられることは嬉しいことだ。


「では、魔法の練習を始めましょう」

「お願いしますアイラ先生」


 俺はアイラ先生に大きな声で返事する。

 そう、今日は魔法を教えてもらう日のである。


「ではまず、魔法の基礎知識を教えます」


 アイラは地面に枝で図を書いて教えてくれた。


「魔法には『日』と『月』の力を中心に『火』『地』『水』『風』の4つが円になり囲んでます」


 アイラが書いてくれた図と説明を受け魔法の基礎はわかった。しかし、この世界の文字は理解できない。やはり、自分がいた世界とこっちの世界は文字も文化も違うってことか。


「魔法とはこの『火』『地』『水』『風』の4つの力を元に『魔力』を形成し魔法にします」

「先生、魔力とは?」

「魔力とは、生き物全員が身体の中で持つものを『魔力』といいます。魔力は生まれながら所持する量が違います。これを『魔力量』といいます」


 なるほど、この世界は魔力が誰でも持っている世界なのか。魔力には人によっては使える量が違う。フィータのような膨大な魔力を持つ者もいれば魔力を少ししか使えない者もいる。

 この世界でも生まれながらの才能ってやつが魔力なんだろう。


「そういえば、俺の魔力ってあるのか?」

「そうですね。魔力を調べるにはこの魔石ませきを使うとわかります」


 アイラは袋から小さなキラキラ光る石取り出す。

 石の色は赤、青、緑、黄色の4つ。


「それぞれの魔石を持ち何かしらの反応が現れれば魔力を持っていることがわかります」

「それぞれ?一個ずつってこと」

「はい。使える魔法と使えない魔法があります。たとえば私は火の魔法は使えても風の魔法は使えません」

「なるほどー」


 4つ全ての魔法は使えないのか。

 アイラから赤い魔石を手に取る。


「それでどうしたらいいんだ?」

「魔石に意識を集中してください」

「意識を集中……」


 自分の手の平に乗っている魔石に意識集中する。

 漫画や映画でよくある気やチャクラっていうものかな、それを魔石に。

 すると魔石から火が出る。


「おっ!」

「はい、これで魔王様は火の魔法が使えます」

「それは良かったけど、どうしたら消えるの。すごい燃えているんだけど」


 魔石から勢いよく火が出る。


「手を離すか、魔力を止めれば火は消えます」


 俺は魔力の止めかたはわからないため、魔石を軽く宙に投げる。

 魔石が手の平から離れ、宙を浮き重力に負け手の平に戻ってきた。魔石から火は消えていた。


「それにしてもさすが魔王様です」

「なにが?」

「魔力量が平均以上に所持しているようですね。普通は魔石からあれほどの火は出ないのですがね」

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